学パロ

□夏風邪
1ページ/1ページ

「あっつー」
クーラーガンガンの部屋でアイスを食べるが暑い。適当に着たタンクトップはキッドのでデカいし無駄に暑いが着替える気力はない。
「うるせぇ。」
「アイスおいしー」
「感謝しろ」
うんうん、と適当に頷いてまた一口食べる。
夏休みは起きると既にドフラミンゴもキッドもいない。起きて朝ごはん作るべきなのだろうがパンの買い置きで我慢してくれている。
ーーーーーピンポーン
「ん?だれだ」
玄関まで行ってドアを開けると外の嫌な暑い空気が入ってきた。
「あ、キラーくん。」
そこに立っていたのはキラーくんだった。でもなんでだ?キッドとバスケじゃないのか?
「キッドが来ない」
顔に出したつもりはなかったがバレていたらしい。そう言ったキラーくんは嘘を言っているようには見えない。とりあえず家にあげた。
「ごめんね、寝てるのかな。キッドー」
ローが医学の本を散らかしているリビングへ誘導して麦茶を出すと2階のキッドの部屋へ行く。
ノックしてみたが反応なし。
「突入!」
勝手に開けて入ると部屋の中は外並み、いやそれ以上の暑さだった。
そんな部屋にいるだけでも熱中症とか心配なのに、ベッドの上には布団にくるまったキッド。
「ちょっと!平気!?」
流石に焦って近付くと気付いたのかゆっくり目を開けた。
「…さみぃ…」
「は?バカ?」
「るせー」
布団を握る手がかすかに震えている。
もしや。
「夏風邪っすか?」
髪の毛をかき分けて額に手を当てると驚くほど熱かった。
「ロー!!!!キッドが風邪ひいたぁ!!」
「頭に響く……」
「夏に風邪ひくとかあいつは本当にバカだな。」
そんな嫌味を言いつつちゃんと上に来てくれた。キラーくんもひょっこり着いてきてる。
「大丈夫か?」
キラーくんの言葉にキッドが軽く頭を振った。
「何か買ってくるものとかあるか?」
「んーん。二人いるし平気。わざわざ来てくれたのにごめんね」
「いや、大丈夫だ。治ったら連絡してほしいと伝えてくれ。」
そう言うとお邪魔しました、と丁寧に挨拶して帰っていった。
「ロー、何かいる?」
「熱が高ぇな。冷えピタとか氷枕とか冷やせるもん。」
言われた通り持っていくとテキパキ処置していく。
「昼飯の後に解熱剤飲ませろ。それまでお前は寝てろ」
弱々しく頷いたのを確認すると窓を少し開けて部屋を出ていこうとした。
「い、くな」
「え?」
先にすたすた歩いていったローの後を追いたかったがキッドが腕を掴んだせいで叶わなかった。
「寂しいの?」
「んなわけねぇだろ…」
「そっか。」
床に座り込んでベッドにいるキッドの手を握り直すと少し照れたようだ。
「お昼ご飯作る時間までいるから寝ていいよ」
「おう。」
かすれた声が可哀想でくしゃりと頭を撫でてあげた。それにしても珍しい。
いつ以来だろうか。ローとドフラミンゴの方が風邪をひかないけどキッドもひかない方だ。
苦しそうな寝顔を見ながら優しく手を撫でてあげた。



「ん?あ!寝てた!」
飛び起きると12:30だった。急いで下に行こうとするとローが部屋に入ってきた。
「文句言ったら殺す」
そう言いながら手に持っていたお盆を机に置いた。
「え、えっ!」
「うるせぇ」
卵がゆ…らしきものが入っている。それと薬、水もだ。
「起きろ」
無理やりキッドを起こすとスプーンにのせたご飯をこれまた無理やり口に押し込んだ。
「ん゛!あっつ!!!」
ごほごほ噎せるキッドの背中を撫でてあげるが治まらない。風邪の影響で咳も出ているからだろう。
「俺がわざわざ作ってやったのに文句言うな」
「さすがに理不尽!」
面倒くさそうにまた掬って口に押し込もうとするローからスプーンを受け取って冷ましてあげるとゆっくり食べ始めた。
「薬も飲めよ」
「ありがと、ロー!」
また下に帰っていくローを見送ってキッドにご飯を食べさせる。風邪でも馬鹿みたいに食べるからまぁ安心だ。
「薬飲んで」
「おぅ」
ゆっくり飲み込んだのを確認するとまたベッドに寝かせる。
「おやすみ。」
「おやすみ」
さらっと頭を撫でると寝るまでそばにいてあげた。
少し苦しそうな寝息が聞こえてくるとなんだか可愛いキッドの写真を一枚撮ってドフラミンゴに送った。
なにかしら買ってきてくれるだろう。



「寝るまでいてくれってあいつはガキか。」
呆れているローの隣に座ると冷めたご飯を食べる。
「ん、美味しいよ」
薄いけど。それを分かっているのか疑わしげな微妙な顔をされた。

「帰ったぞ!キッドは生きてるか?」
「はやっ!!!」
いつもより2時間以上早く帰宅したドフラミンゴの手には栄養のありそうなものと楽に食べられそうなもの。
「あ、冷蔵庫入れとく」
私に袋を持たせるとすぐに上へ行った。キッドのためになにか作ろうとキッチンに立つとすぐドフラミンゴの声が聞こえてきた。
「ちょっと来い!!!」
「急変したか?」
ローと焦って上へ行くとウザそうにしているキッドとカメラを構えたドフラミンゴがいた。
「…え?」
「見ろよこのキッド!マジで可愛いな、おい!」
「…下に戻ってる。」
「わたしも。」
盛大に呆れながら部屋から出たがドフラミンゴはまだカメラを構えていた。
「いつまでも親バカだな。」
「本当にね。ははっ、でもそこがいいんだけど!」
さて、あのバカな親と風邪っぴキッドとローにご飯を作ってあげよう。とびっきりの愛情を込めて。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ