君と過ごした1ヶ月

□8月17日
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上を向いてぼーっとしていたら寝たと勘違いしたのか名無しさんが声を殺して泣き始めた。内心めちゃくちゃ焦ってるけどどうすりゃいいのかわからない。でも寝たふりはしていたくなかった。
「ごめん、起こしちゃった?」
震える声を必死に紡ぐ名無しさんに大丈夫だ、と返した。
起こしてないという意味なのか泣いてることに対する慰めなのかは自分でもわからなかった。
「どうした?」
「ん、寂しいなって」
「まだいるだろ」
「まだ、ね」
ずっとそばに居ることは出来ねェけど今は一緒にいれる。だから泣くのが早いと思う。ていうことは違うのか。本当はほかのことで泣いているのか?
反対側を向いていた名無しさんを後ろから抱きしめた。泣いて欲しくない、笑ってほしい。
「エース」
モゾモゾ動くから手を緩めるとこっちを向いて少し笑っていた。
なんで泣いているかわからねェけど今はこれでいい。笑ってくれるならそれでいい。
「おやすみ、名無しさん。」
額にキスをして目を閉じた。

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