君と過ごした1ヶ月

□8月11日
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あまりの腰の痛さに一回起きかけてまた倒れ込んだ。その痛みの原因は呑気に鼻歌を歌っているのがわかる。少し聞こえてくる声に薄く笑う。
昨日のことを思い出そうとするが途中から記憶が無い。つまり落ちたのだろうか。それはかなり恥ずかしい。まぁ、優しく出来なかったら悪ぃ、とか言っときながら激しさ変わらず3回戦までしてきたエースが悪いけど。
「はぁ」
エースは何も知らないで、嘘をついている私を愛している。エースのことを知っていたしこれからのことも知っている。それを伝えて、教えて欲しいと言われたらどうすればいいのか。教えなくていい、と言われたら黙ってエースが死ぬのを見ていなきゃいけないのか。
真っ直ぐに向き合ってくれるエースにもう嘘をつきたくない。
「お、起きたか!大丈夫かー?」
「ちょいまってて」
不思議そうな顔をしているエースを無視して二階に上がると入らないでとお願いしたお父さんの書斎へはいる。
「アラバスタ、アラバスタはこれか」
ぱらぱらめくって確認するとお目当てのものを持ってエースのいるリビングへ戻る。
「ごめん」
「なんだよ?」
朝ごはんを並べてくれていたエースに謝ってマンガを開くとエースが固まった。
「なに、これ」
「ONE PIECEってマンガ。ごめんね、エースのこと知ってた。少し先の未来も。」
「嘘ついてたのかよ」
「ごめん。」
エースの表情を見るのが怖くて俯いていると膝に涙が落ちた。泣く資格なんてないのに。
「なんで嘘ついてたんだよ」
「少し先の未来を知りたいって言われた時困るから…」
エースが黙り込んでしまった。怒っているんだろう。怖いがゆっくり顔を上げるとエースの顔を見た。
「悪意は無かったんだろ?」
「うん。最善だと思って…。でももう嘘をつくのが嫌なの」
「じゃあもう俺に対して嘘をつかないって約束してくれたらそれでいい。だから、泣くな」
優しく抱きしめられたからきつく抱き締め返して何度も何度も謝った。

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