君と過ごした1ヶ月

□8月6日
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「ひーまー」
「だーねー」
「どこか行こうぜ」
「日曜日はひとが多いから嫌」
「えー」
確かに見るテレビも無くなってきたし暇だ。だけど外は嫌。暑いし人多いし。
「DVD借りる?」
「なんだそれ?」
軽く説明すると気になったようですぐに家を出た。
近くにあるレンタル屋につくとONE PIECEが置いてありそうな場所に近付かずエースの気になったものを借りた。ゾンビ系のホラーや呪い系の日本のホラーだ。


「うっ…」
「嫌いなのか?」
人が死ぬシーンや怖いシーンで目をそらしているとエースが嬉しそうに聞いてきた。そりゃあエースは見慣れてるだろうけど!
「好きなわけないじゃん…」
「でも演技だろ?」
「それでも!うっ、無理!!」
あまりにも怖くてエースの腕を掴むと抱き寄せられた。
「こうしてれば怖くねェだろ?」
「変わらず怖いんですが」
「心臓うるせェ」
顔を上げるとニヤニヤしているかと思ったのに少し顔が赤くて…。
「エースもうるさい」
「仕方ねェ」
「じゃあ私のも」
私の心臓も壊れるんじゃないかってくらい早く動いているけどエースの心臓もなかなかだ。
[キャー!!!!!]
「うっ……」
見つめあって少し照れながらっていういいシーンが女の悲鳴でぶち壊されたからテレビを見てしまうと一番のグロシーン。
「もっと、キャーとかねぇの?」
「ごめん」
「ははっ、冗談だ」
見たり見なかったりを繰り返して1本終わるとやっと安心してトイレに行けた。スッキリしてリビングに戻るとエースが紅茶作りに悪戦苦闘していた。
したことないんだろうけどカップに直接茶葉を入れた人は初めて見た。
「これにいれて、カップに入れるの。」
「うおっ、いたのかよ!」
「今来た」
茶葉取りに必死になっていたからか私に気付かなかったエースが驚いた。新しく作り始めると初めて完成した紅茶を飲んでいた。
「美味しい美味しい」
「全然ちげェ…。名無しさんのは何であんなに上手いんだ?」
元々紅茶が好きではなかったらしいエースに初めて紅茶を出すと目を輝かせて美味しい、と言ってくれたことを思い出した。
「まぁ、温度とか細かなところがあるからね。でも初めてでこれは本当に美味しい!」
さっきまで落ち込んでたのに一気に嬉しそうな顔をした。
「ほんとか!?よかったー!」
私は夏でもホット派だけどエースは冬でも氷で冷ます派らしい。
氷をどぼどぼ入れているエースを待つこともせずにソファーへ移動すると早歩きでエースも来た。
「置いてくなよっあ!こぼした」
「はいティッシュ」
まだカーペットエリアに来ていなくてよかった。フローリングの上にこぼれた紅茶を拭くと隣に座ってDVDを見始めた。タイプの違う二本目を怖がりながら見るとまた楽しそうなエースに笑われた。



(こっち怖ェー!)(でしょ!?日本のホラーは怖すぎる!!)

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