反抗期?思春期?

□可愛い反抗期
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「おはよう、名無しさんちゃん」
「きもっ!!」
朝から名無しさんの部屋へ起こしに行くときもいと言われたがまぁ、いつもの事だ。
「出てって!着替えるから!」
「そんな惜しいことがd…いってェ!分かった」
近くにあった硬い箱を投げつけられたからしぶしぶ部屋から出ると先に広間へ向かった。
「若様、名無しさんは?」
「お着替え中だ。」
「おわった」
名無しさんが広間に来るとようやく朝食を取れる。名無しさんが最後に来るのはファミリーに入った頃からずっとだ。小さい頃はおれが抱いて広間に来ていたから一番最後ってわけでは無かったが。
「ご馳走様」
朝食限定で誰よりも早いのもいつもの事だ。昔は無理矢理でも食べさせていたが最近はもう気にしていない。
「んねーんねー!名無しさんー!」
「うっ…近い」
「でもそこがー?」
「好きじゃない」
「べーへっへ!!フーらーれーたー!!」
涙を流しながら笑うトレーボルに名無しさんが用を聞くと無視されていた。
「ドフィのことが好きだから?べっへっへっへ!!」
「 っ!!やめて!!」
「やめろ、トレーボル。」
おれがあいつの顔を真っ赤にするのはいいが他の男だと気に食わない。
トレーボルの口を閉ざすと走って逃げていく名無しさんを見送った。
生憎仕事もないし呼び止める口実がなかったからだ。



「あ、若様」
「ベビー5か。」
必要とされることを望んでいるベビー5はファミリーなのにいつも給仕の手伝いをしている。
山ほど洗濯物がはいったカゴを無言で奪うと笑顔でお礼を言ってきた。これが名無しさんなら可愛くないことを言うんだろう。
「若様って名無しさんのことどう思ってるの?」
「ファミリーはみんな好きだぜ」
「小さい頃から名無しさんが特別なくせに」
女の勘が当たるのは何故だろう。
「アイツは、おれが引き込んだからな。フフッ、不幸だなんて思われたくないだけだ」
「ふーん?」
「なんだよ?」
「なんでもない!」
絶対嘘だ、とか思ってるんだろう。にやけているベビー5の頭を軽く小突くとちょうど名無しさんと出くわした。
「あ!名無しさん!」
「ん?どうしたの?」
「特にないけど名無しさんに偶然会うの嬉しいわ!」
「ベビー5は可愛いね。視界を邪魔するくそピンクがなければもっと可愛いのに」
「悪かったな」
目すら合わせなかったからスルーかと思いきや憎まれ口は叩かないと気が済まないようだ。
「フフッ、名無しさんも可愛いぜ?」
「ウワーウレシクナイ」
「フッフッフ、照れるな」
「照れてねぇよポジティブうぜぇよ」
嫌そうな顔をする名無しさん。オーバーすぎてもはや変顔だ。それより何でこいつは頭に葉っぱをつけてるんだ。今までどこで何をしていたんだ。
「名無しさん」
ベビー5に俺の悪口を言っている名無しさんの名前を呼んでから取ってやるとポカン、としている。
「どこにいたんだお前…」
ついていた葉っぱ2枚を見せながら言うと
「あぁ、それあげる」
なんて質問にカスリもしないことを返された。
「あー、眠い。」
「寝ればいいだろ」
「寝れる状況なら寝てるわ。布団もシーツも洗濯されてるの!あんたが今もってるそれ!」
妙に重いこれは布団だったか。給仕たちは名無しさんの部屋に入ったことがない人が大半だ。物も少ないし掃除は自分でしているらしい。ファミリー以外に心を開かない名無しさん。きっと布団はベビー5に強制的に取られたんだろう。
「一番日に当たるところに干しといて」
素っ気なく言う名無しさんはおれにも心を開いてないのかもしれない。
「仰せのままに。」

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