短編

□優先
2ページ/2ページ

「で、何が不満なんだ?」
「やだ…」
「何がだ?」
「嫌われたくない…」

ベッドにうつぶせになった私の横へ座るとキッドが大きくため息をついた。
「お前は何も分かっちゃいねェ」
心底呆れたように吐き出された言葉。
こうして2人で話そうとしてくれるところとか持ち上げる時、降ろす時優しくしてくれるところとか、キッドの気持ちがわからない訳では無い。
大切にされてないと言いたい訳でもない。
でも、私は1番ではないのだ。
わたしにとってキッドは何よりも大切で、キッドがいなければ生きて行けなくて。

「私にはキッドしかいないの…」
「あァ。」
さらさらと髪を撫でてくれるから少し落ち着いてきた。
キッドの隣に座ると無言でティッシュを渡された。
「あのね、キッドの1番になりたかったの」
「間違いなくお前が1番だろ。この船に乗ってて、オレと同じ部屋にいる。」
「うーん、でもキラーの方が大切でしょ?」
なるべく重くならないように言葉を選びながらそう言うとキッドの肩が揺れる。
「ククッ、ハハハッ!お前は誰に嫉妬してるんだよ?オレがさっき気付かなかったからか?それは悪かった、でも…、ハハッ!」

何がおかしいのか珍しく声を上げて笑っているキッドに涙が引っ込む。
「な、なんで笑うの?」
「お前がありえねェくらいのバカだからだ。」
「えっ…」
ひとしきり笑い終わるとキッドは私を自分の方へ抱き寄せて耳に口を寄せた。
「オレが愛したやつは世界で唯一お前だけだ。これからもずっとな。キラーと比べて凹んでんじゃねェよ。」
「じゃあもし、私かキラーどちらかしか助けられないとしたら?キッドはキラーより私を優先してくれたりしないでしょう?」
絶対に言いたくない言葉が出てきてしまって、訂正しようと慌てて顔を上げるとそこにはいつもより少し優しそうな顔したキッドがいて口角を上げていた。
「そんなの決まってるじゃねェか。
そうならねェようにキラーは強くなってお前のことはオレが守るんだよ。」
「答えになってないよ…」
当たり前だ、とでも言うように言い切ったキッドに少し笑って逞しい胸板に擦り寄った。
「海図も読めないし弱いし役に立ってないよ…。」
「そうかもな。だがオレはお前を守るために前より強くなれたんだ。お前の存在は必要不可欠だ。」
片腕でしっかり私を抱くとぽんぽんと背中を叩いて安心させてくれた。





----------------


スタンピード見たらキッドくん愛がやばいですっっ!
キッドくんとキラー愛し合いすぎじゃない!?
尊さと嫉妬でつい書いてしまった…(笑)
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ