短編

□サイコパスと恋した私
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「っはぁ、……はぁっ」
妙に息苦しい。体がだるい。重い。
夜中に起きたが彼はいないようだ。
どこに行ったの?早く私のそばに来て。




「名前」
寝ようにも寝れず布団の中でくるまっていたらドアの開く音と私を呼ぶ声。
顔だけだしてみるとあたりは明るい。朝が来たようだ。
「名前?」
私が返事をしないことを不審に思ったのかズカズカ近付いてくる足音がした。
「どうした?」
ばさっと私の布団を取って覗き込んでくる。
「顔が赤ェな。熱か?」
ひんやりした手が額に当てられた。
冷たくて気持ちいい。
「フフッ、擦り寄るんじゃねェよ。可愛いなァ」
とりあえず医者を呼んでくる、と部屋から出ていこうとしたドフラミンゴのふわふわコートを思わず掴んだ。
「すぐ来るからな」
コートを脱いで私にかけると頭を撫でて行ってしまった。
体の辛さは増すばかりで必死にコートに縋ったけどドフラミンゴは帰ってこない。
「うぅっ………。」
目の前が霞んで涙が零れると同時に意識もなくなった。








「ふざけてんじゃねェ…、てめェどうなるか分かってんだろうな?」
名前が目を覚ますとドフラミンゴが医者らしき男に銃を向けて怒っている。それもかなり激しく。
「…ぁっ!ゲホッゴホッ……」
ドフラミンゴ、と言いたかったのに声がうまく出なくて噎せた私に気付いてドフラミンゴが近付いてきた。
「お目覚めか」
口角を上げるわけでも下げるわけでもない無の表情。
医者に怒ることといえば自分の具合だろう、と名前は察した。
「ドフ……ゴ……」
「休んでろ。あー、わかった、もうしねェよ」
医者を殺さないで、と首を横に振った名前にため息ひとつつくとベッドに腰掛けた。
汗ばんだ額にくっつく前髪を優しく退けるとそこへ唇を落とす。
「ふふっ」
「なんだァ?」
まるで付き合いたてのようね。名前は心の中で呟くと静かに目を閉じた。
起きたばかりなのに体がだるくて眠いのだ。
確実な体の変化に気付いたが何も知らないふりをして眠りについた。
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