短編

□サイコパスと恋した私
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「んんんー!擽ったい……」
「エロいな…」
傷の跡を舐めながらニヤニヤと笑う。
「ドフラミンゴっ…!」
求めるように伸ばした手はしっかりと絡め取られた。
「好きっ、好きよっ」
この男も狂っているが私も大概狂ってる。
「フッフッフ、あぁ。」
ドフラミンゴの仕草、態度、全てが私に伝えてくるけど直接聞きたい。
「ドフラミンゴは?」
ベロベロと容赦なく這っていた舌が離れていく。
「フフッ、珍しいじゃねェか。」
下腹部を舐めていたのに嬉しそうな顔をして私の唇に自分のを近づけた。
「んっ…」
ドサッと覆い被さると容赦なく口内を犯す。
漸く離された時には息が上がっていた。
「愛してる。名前が好きだぜ、フフッ!」
なんでほかの人の所へ行くの?
なんで私を傷つけるの?
なんで…。








イライラ、イライライライラ。
人の部屋でそんなオーラを醸し出している男は一人がけソファにどっかり座って上を見上げている。
私のことなんて見もしない。
「出かけてくる」
我慢の限界、と言わんばかりに窓から部屋を飛び出すと雲伝いに去っていった。
聞かずとも女のところだろう。
「おなかすいた…」
いつもは持ってきてくれる昼食がない。
取りに行くか。





「おい、どこに行ってた」
わざわざ部屋まで持ってきて食器を返しに行くのもめんどくさいから幹部達と一緒に食べて帰ってきた訳だが…、随分早いご帰宅で。
「ご飯食べてきた」
「おれが来るまで待てばいいだろう」
さっきよりイライラしている男に何を言っても怒られるだけだろう。
一応幹部達に聞いたらドフラミンゴは先に食べたらしいし。何が悪かったのか、なんて分からないけど。
「ごめんなさい」
片手を無理やり引かれてベッドに投げつけられた。
「痛めつけないとわからねェだろ?」
思いっきり下げた口角。
思い通りにいかないのが気に食わない大きな子供に見える。
だがそんなこと口走ろうものならどんな状態にされるか…。
考えただけで恐ろしい。
「いっっ!痛い!!」
服の上から私のお腹を指でなぞっていく。だけどそれは可愛らしい行為ではなく思いっきり張った糸で服と肌を裂いているのだ。
痛みに悶えると機嫌が直ってきたのかニヤニヤと口角を上げはじめた。
「痛い、よっ!!」
暴れようにも巨体が私の上に乗っているからビクともしない。
ただただ痛い。
気が済むまでゆっくり痛めつけられると張っていた糸を辞め、指で私の血を掬い、舐めた。
嬉しそうなドフラミンゴの白いシャツにも常にだしている腹筋にも私の血がたくさんついている。
シーツも、私の服も、血だらけだ。
私の涙には興味ないのか長い舌で血を舐めるとわざと見せてきた。
「痛かった……」
「フフッ、じゃあ部屋でいい子にしてるんだな」
「お腹すいたんだもん」
「じゃあおれが悪ィってのか?」
ドフラミンゴが私を睨む。サングラスで目は見えていないけど確実に睨んでいるのがわかる。私を非難するような、軽蔑するような目だ。

そんな顔をしないで、私を捨てないでほしい。

「そんなこと言ってないよ。私が悪いの、ごめんね?」
満足そうに頷くと血のついたままの舌で私の頬をべろりと舐めた。
嫌な鉄の匂い。きっとこの男は好きなんだろうけど。

何をされても、どんなに理不尽でも彼を否定出来ない自分に心底呆れた。
離れたら生きていけない、そう思うほど好きで依存しているんだろう。
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