□婚約者
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「…………なぜそんな格好をしている」

「分かりません。」

「シエル!このことても綺麗よね!!あたしのお友達にしたいわ!!」


私は少し諦めながら髪は女性のように飾られ、ドレスを来ている。
私には少し大人びた格好ではないのだろうか…

遡ること二時間前
ーーーーーーーーー

あれから私は坊ちゃんが口をつけるものに触れさせられなくなった。

私の食事は私で用意しますと言った。
セバスチャンが作ったものはあまりすきではない

口に含んだ時の最初に思った感情

おぞましい

全てを覆うようなコクのある深み。心が溶かされるような甘味。決して正体を残さない蕩けるような歯触り。

普通の高級な料理だと思うのに
とても気分が悪くなる。

私は1口以上食べれなかった。



お口に合いませんでしたか?

作り直します。

食べなさい。無駄にするのですか?

セバスチャンが口からこぼすこれは普通の言葉なのに。
私には拷問に近かった。
思わず二口目から戻してしまったのだ。

風に当たりなさいと
外に放り出された。

縛っている髪を解いてぼーっとしていると

「あら、貴女!行くところがないの?私も丁度この屋敷に来たとこなの!…うんちょっと来て!」


「えっいや私は…」

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ツインテールの金色の髪をして目がくりっしているとても女の子という感じのこの美少女。エリザベス様に私はとても遊ばれています。

「とても愉快な格好だな」

「とてもお美しいですよ。」

坊ちゃんはとてもふくざつそうなかおをしていて、セバスチャンはとても素晴らしい笑顔をしている。
何故か感情が分からない。

「シエル!このここのメイドさん?だめよレディの髪をここまで切ってしまっては!何故ドレスを着せてあげないの?」

エリザベス様はとても頬を膨らましながら怒っている。

「エリザベス、こいつは」

「やーだ!リジーって呼んでよ!!」

「エリザベス…」

なんというか、エリザベス様はとても坊ちゃんを想ってらっしゃる。
その一方で強い意志を持ち合わせているとても優しくて強くてもろい方だとおもった。

「あなた、女性でしたか?」

「…………男のはずなんですが」

「え?!優美レディじゃないの!?嘘!!」

エリザベス様が真っ赤になって私を見る。
そうだろう。服を脱がせてこの格好にしたのはエリザベス様だ。
ドロワーズを着ていた時点で気づかなかったのか。

「エリザベス様。この方はここで雇われた執事にございます。伝えるのが遅く、誠に申し訳ございません」

セバスチャンが深々と頭を下げる。

コルセットが苦しい。服が重い。足が痛い。
レディは大変なんだね。

「……あ、あたしなんてことを…っシエルのお嫁に行く前に…っ」

「大丈夫です、これはカウントされません。執事に服を着せて差し上げた心、とても尊敬いたします。」

「エリザベス様。私は光栄です。こういった服を着る機会がないので。」

セバスチャンがフォローするので私も言葉を口にして頭を下げる。

「「…………」」



空気が凍った気がした。

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自室への道を歩く
「優美…」

「なんでしょうか………っ!?」

どんっと壁に押し付けられる。
私を見下ろすその顔は。
とても甘美に満ちている

「あなた、本当は女性男性どちらです?あなたからは何も分からない。まるで性別が無いかのように」

「っ…男ですがっ…」

悪魔の目が私を捉える。
女だと言ってはいけないと全身が叫んでいた。

「本当に?…確かに胸は無いですが…」

セバスチャンの手がするりとスカートの中から入ってくる。

頭で警報が鳴る

それが何を意味しているのか
何がしたいのか
全く分からなかったけど

落とされる

一瞬で悟った。

「男色の好みが?」

「そういう訳ではありません」

手がドロワーズを上回り

コルセットが外される

「っげほっげほっ」

一気に空気が入ってむせ返る。
セバスチャンがため息をついて離れると
私はセバスチャンにお辞儀をして離れる



「…男性…ですね…あの体の硬さは…涙ぐらいは見せると思ったのですが……全く動じない…クスッ」

悪魔が妖艶に笑う

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「あ、危なかった…」

部屋に入るとズルズル崩れ落ちる
あの悪魔
普通の悪魔じゃない。

危うく叩きそうになった

感情とかじゃない
あのセバスチャンの囁きが一瞬聞こえた


"あなたも寂しくて普通の人間になりたいのでは?

か わ い そ う に "

普通の人ならここで感情をぶつけ、荒ぶり、涙を流し、怒っているだろう。

私の人に最も近い部分が揺れかけた
それに動じなかったのは
その瞬間。

"お前は愛されし子だ"

父様のその言葉が心を包んで下さったからだ。


もっともっと
信仰を深め、父様に会いに行かなければ…

私は着替える

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「はぁ…」

「坊ちゃん。少しよろしいですか?」

「それどころじゃない…」

「エリザベス様はどうなさいました?」

「………僕に合わせる顔がないと泣きながら部屋から出てこない」

「嗚呼、まぁ…男性であれだけの完璧さを見て不安になられたのでしょう」

「…あれだけの美しさであるのに男でその上素肌を見てしまったとずっと泣いている……はぁぁぁぁ」

「……坊ちゃん。おまかせを。優美を頼みます」

「はぁ?」

「流石に私はあれ以上近づけません」

「…はぁ、面倒起こすな」

「イエス・マイロード」

あれ以上優美の心を見ようものなら私が消されかねません。
流石に体がとても重い
私は気をとり直しドアを叩く
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