□執事
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私は馬車に揺られる
ゆらゆらと

神父様は言った
『ファントムハイヴ伯爵の家に働きに行ってほしい。お前は男として行ってもらう。…女だと色々と差別されるからだ。この教会は、いつでもおいで。お前の人生の経験のためだ。神の御加護を』

…聞こえはいいけど心はわかる。

分かってしまった
心が

ファントムハイヴ伯爵にあんな子供だと甘く見たせいで俺は追い詰められた
金を用意しろといわれたがくれてやる金。
金よりいいものはお前だ。
男としていくのは…俺の罪悪感だ。
済まない…優美…。

心まで腐っている訳では無い。
まだ救いようがある。
私さえ犠牲になれば神父様は助かるのだ。
新しい環境になるだけ
お願い。父様。
神父様を地獄に落とさないで…


…大きな屋敷の前で下ろされる。
私は帽子をとって門をノックする。
出てきたのは
執事

「あなたが優美様ですね。坊ちゃんがお待ちです。どうぞこちらに…」

見た瞬間気づいてしまった。

『悪魔』だ。

「ありがとうございます。」

私は歩く。
悪魔は苦手だ。
人と違って心が読めない。
言葉は分かるのに。
そしてこの悪魔

契約

をしている。
その主はきっと主
私は
契約をしている人の心も分からないのだ。

感覚、気配、感情、位置。

これらしか悪魔と契約者は分からない。

私は、とんでもないところに飛ばされたみたいだ…

「坊ちゃん、例の…」

悪魔がドアをノックする。

「入れ」

私は入る。身分が低い私は顔を上げれない。

「ふうん、金よりいいものと聞いたのにタダのガキか。見た目は僕と変わらないな。顔を上げろ」

私は顔を上げる。

「坊ちゃん…」

悪魔が私と同い年かすこし下、顔は少し女の子のような、坊ちゃんと言われた方に耳打ちをする。

この子が契約者だ。

だめだ。この子は悪魔とかなり深いつながりだ…助けられない。

「なに…」

坊ちゃんが少し驚いた顔をすると私を睨む
しばらく睨んだかと思うと溜息をつき

「今日からお前を雇う。執事だ。ヘマおこしたら承知しないからな。部屋はセバスチャンに案内してもらえ。……」

「……どうぞこちらに。」

悪魔、セバスチャンがニコリと笑い私の前を歩く。

驚いた
どうせ利用価値なんかないから売られるんじゃないかと思っていたのに。

「優美でしたね?朝は6時起きです。あなたサイズはないので、市民が着る服を来ていただきます。一日で覚えなさい。服は着替えれますね?」

「分かりました。セバスチャン様」

私はきっともう、心から笑えることは無い。

セバスチャンが私をじっとり見る。
魂を探っているのだろうか。
笑顔の裏はとても不快といった感情がわかる。
悪魔は誰も愛さない。

屋敷の中を案内される。
使用人たちはしばらく屋敷を離れているらいい。

あの方たちは本当に面倒ですが、仲良くして下さい。

と言って部屋に連れてこられる。

………使用人の部屋にしては大きくないだろうか
他の使用人達と相部屋かと思ったのに個室らしい。

「あなたは何を考えているか分かりませんね…もっと喋られてはどうです?」

……顔がちかいんだけど。
この悪魔にパーソナルスペース無いの?
一応男ってなってるんだけど。

「喋るのはあまり慣れていません。ご指導、宜しくお願いします。」

「…はぁ、優美、一応忠告しますが、夜は出歩かないよう。出歩いたら、ここ、無くなりますよ…」

セバスチャン怪しく笑いながらが私の左胸を撫でる。
心臓の事だろう。
……胸がないとはいえまぁ、気分は男より少し女だから、なんかモヤモヤする。
正直……恥ずかしい。

「では長旅で疲れたでしょう、もうおやすみなさい。では」

そういってセバスチャンが部屋を出る


………お風呂入ってないんだけど。

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ノックして部屋に入る
「坊ちゃん、やはりあの方は普通の方ではありません。」

「また悪魔や死神の類か?」

「いえ、もっと別の…」

「別とはなんだ」

あの方は……もっと人じゃなくて、神に近い存在、死神とか底辺なものではない
触れようとした瞬間消されるかと思いました。
そう、汚れなどない、清らかで、神の半身のような…

「セバスチャン、何を考えている?答えろ」

「申し訳ございません。もう少し、様子を…あの方を放置しては坊ちゃんの目的が果たせない可能性があります。」

「…父様たちを殺した奴らの手先か?」

「違います。」

「じゃあなんだ」

「私たちには図り兼ねる存在です…」

触って、少しずつ毒を吹き込んで、慣らさないと
あの方の魂とても清らかすぎて

とても…おぞましい
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