Dream:The Ring 短編U

□オトギリソウ
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エルロヒアの場合


先日、双子の片割れであるエルラダンが、闇の森の姫をお持ち帰りしてきた。
オーク退治以外に何も興味を持たず冷めていた彼なのに、今や彼女にぞっこんだ。
『ラダンは僕のものなのに……』
エルラダンの衣装を纏い、彼の癖、髪型を真似て彼女の元に向かった。
こんな短い付き合いで、自分とエルラダンの見分けがつくとは思わない。
「今戻ったよ。」
「お帰りなさいませ、エルラダン様。」
柔らかく嬉しそうに微笑む彼女に、この微笑みを涙で濡らし、めちゃくちゃにしてやりたいという衝動に駆られ、唇を食いちぎる勢いで彼女に口付けた。
「ん、あ、はっ……」
何度も角度を変え、舌で口腔内を犯せば、彼女の口から甘く苦しげな吐息がもれた。
『甘ったるい……』
急に彼女の手に押され唇を離した。
自分を見上げる彼女の表情は怪訝そうだった。
「あなた……エルロヒア様?」
「へぇ、ばれるとは思わなかったよ。」
「なぜ……?」
顔を青くしてそう呟いた彼女を寝台に押し倒した。
「お、お待ちください!どうしてこんなこと!」
乗せた体の重みで寝台がギシリと嫌な音を立てた。
衣装を緩めながら、怯える彼女を追い詰めていく。
「どうして?僕からラダンを奪ったお前をめちゃくちゃにしてやるためだよ。」
そう言って彼女の唇に噛み付いた。
「ん、あぁっ、いやっ!」
暴れる彼女を組み敷いて、前戯もそこそこに彼女を貫いた。
「いや!!いた、い……」
圧迫され、苦しそうに涙をこぼす彼女に容赦なく腰を打ち付けた。
「その割には…ずいぶんと濡らして…締め付ける。くっ、はっ、なかなか、いいね……」
「あ、あ、いやぁ、ラダン様っ!」
その瞬間、彼女の頬を打った。
「その名を呼ぶな。ラダンは僕のものだ。」
そう言って、より激しく腰を打ち付けた。
「あ、あ、あ、あ、もう、お願い、やめて……」
「中に、出すよ。」
「あ、いや、それだけは……中は、いやっ!」
「どちらの子を身ごもろうと、見た目は同じなのだから、問題ないだろ。」
いやいやと首を振る彼女の耳元に唇を寄せた。
「快楽に、溺れろよ……」
そう囁いて彼女の奥に欲を吐き出した。
荒い自分の息遣いと、彼女のすすり泣く声が響く。
喉でクツリと笑った。
自分からラダンを奪った彼女に怒っていたのではない。
自分から彼女を奪ったラダンに嫉妬し、彼に体を許した彼女に怒っていたのだ。
「また、抱いてやる。」
そう吐き捨て、部屋をあとにした。
「君たちが悪いんだよ。僕を裏切るから……」
自分の頬を涙が零れ落ちることに気付かないままだった。



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