Dream:The Ring 短編U

□オトギリソウ
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「う、はぁ、い、やっ……」
自分の体を滑る彼の唇がくすぐったくて声がもれた。
自分の口から発せられる甘い声が恥ずかしくて唇を噛み締めれば、すかさず彼に口付けされ、唇を舐められた。
「唇が切れてしまうよ。声を我慢しないで……」
「やぁっ、恥ずか、しい…ん……」
「女性の快楽によがる姿は美しいと思いますよ。」
疼く体を鎮めたくて、本能のままに快楽に身を委ねようとする一方で、わずかに残った理性が必死に彼を押し留めようとする。
「いけません、私はあなたを愛していないのに……」
「きっと、愛するようになるし、そうさせてみせますよ。」
彼のその自信はいったいどこから来るのか。
彼は一度体を離して着ていた物を脱ぎ捨てた。
初めて見る男性の体はしなやかな体型でありながら、筋肉で引き締まった身体で思わず息をのんだ。
「惚れましたか?」
可笑しそうに笑う彼に、恥ずかしくて視線を逸らした。
そして、また彼の笑う声がする。
「本当に、可愛らしい姫だ。」
彼が耳元で低く、静かに囁いた。
「これが、愛しいという感情なのでしょうね。」
自分の胸が高鳴った。
不思議だった。
無理矢理組み敷かれ、犯されているというのに、彼を包み込んで抱き締めたいと強く思った。
なぜか、彼が深く傷付いているように思えたから。
「あ、あの……」
「なんだい?」
「紐を……ほどいて頂けませんか?暴れたりしませんから。」
彼は一瞬考えたが、すぐに紐を解いてくれた。
「乱暴な真似をしてすまなかったね。」
そう言って、赤く残る縛られた痕に、彼は優しく口付けてくれた。
『この方は、こんなにも優しい』
そう思うと愛しくて、ぎゅっと彼の頭を自分の胸に抱き寄せた。
「姫?」
「きっと、私はあなたのことを嫌いじゃありませんわ。」
一瞬、彼が息をのむのが分かった。
だが、次の瞬間には荒々しく口付けられ、性急に求められた。
快感に瞳を閉じ、荒い息をつきながら腰を打ち付けるエルラダンに男の色気を感じた。
彼の背に手を回せば、微かに引っかかる傷痕。
母親の仇討ちのためにオークと戦ってきた証。
憐れだと思うと、より愛しさが芽生えてきた。
「エルラダン様……」
自分の口から甘く彼の名が零れ、彼は一瞬驚いた顔をしたが、笑みを見せると優しく口付けを落としてきた。
「可愛らしい……」
そう呟いて、彼は激しく腰を打ち付け、欲を奥に注ぎ込んだ。

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