悪童

□僕の隣
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「ユグォーン〜」


なんて君が珍しく甘えてくるから

どんな事を言われるのかと身構えていたら、「買い物に行こう?」と

ニッコリ微笑まれ、僕に異論なんてない。


はじめに向かったのは雑貨屋

どうやら新しいマグカップが欲しいらしい。

「ちょっと!ヒョン聞いてるの!」

「はいはい、両方可愛いじゃん。」

「それじゃ困るんだって!」


拘りの無い僕と違って

ジコは一生懸命マグカップを睨んでいる。

正直、大きな星が描かれたコップも
小さな星がたくさん散っているコップも大して変わらないと思うんだけど。


んー?とか言って首を捻る君を見ているのは楽しいから無粋な邪魔は入れない。

手持ち無沙汰な僕はジコに持たされたかごを握りしめ近くを彷徨う。

「ちょっと、おいてくのかよー!」

おいてけるわけが無いのに騒いで

拗ねるジコも可愛い。

サラサラの銀髪がちょこんとキャップ帽からはみ出していて、

細い瞳が更に細められる。

はぁ、その顔が誘ってるって気づかないのかな?


「な、なんだよ。」

ジーと見つめると居心地が悪いのか
顔を逸らすジコ。

耳だけが赤くて

「可愛いなぁ」

「なっ!…俺は、怒ってんの!」

宥める為に、かごに入れられた
赤と青のストライプのマグカップは
僕が買ったに決まってる。

あれ?星は…?

まぁ、いっか。

「次はどこ?」


「……んー。シーツって何処で売ってんの?」


「何処でもあるんじゃない?
モールにいく?」


……出来れば行きたくないんだけど。

「いくか!」


はい、行きましょう。

買い物袋を持って、空いた手は
ジコの手に重ねる。

「…良いのか?視線が嫌なんだろ?」


只でさえ人の多い場所で、

視線の集める僕ら。

何をするにもまとわりついてきて普段だったら絶対に嫌だけど、


「平気。ジコと一緒だもん。」


不思議と好きな人となら
なんだって出来る気がする。

ブンブン手が振られて、

「そっか。」

って嬉しそうなジコに

あぁ、やっぱ繋いで良かったなぁー
なんて思った。
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