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□THE OVER
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性描写が含まれます
〈琢也side〉
俺はずっと前から真太郎が好きだ。
でも、この気持ちを気づかれないように押し殺して今まで生きてきた。
だって今の親密な関係を崩したくなかったから…大切な真太郎だけは失いたくなかったから…
「琢也くん、コーヒーとお茶どっちがええですかー?」
俺は真太郎の家に遊びに来ていた。
まぁしょっちゅうなんやけど。
「ん〜、じゃあコーヒーで」
「了解です」
真太郎がコーヒーを持ってソファーに座った。
「はい琢也くん。」
「お、サンキューな」
「何のテレビ見てたんですー?」
「ミュージックチャンネルや」
「おっ、この子この子!このアイドルグループのマイちゃん言う子可愛ええですよね〜!」
「そ、そーやな(笑)」
辛い… 自分に嘘ついてまで真太郎に合わせて…
ありのままの自分を出せないことが辛くてたまらない…
このマイちゃんって言う人なら真太郎を幸せにできるんやろか。
真太郎はノンケやから、それが当たり前やねんけど…
もっと俺を見て欲しい
「そーいや琢也くん、新曲の歌詞作りは進んでますか?」
「おぉ、なかなか。みるか??」
俺はいつも常備しているカバンからノートを取り出し、真太郎に見せた。
「ほー!今回はラブソング系ですか!」
「たまにはええやろ?」
「ええですね!あの、前々から気になってなんですけど、琢也くんってラブソングは誰のこと思って書いてるん?」
俺は一瞬ドキッとする。
だって…「真太郎だよ」なんて言えるわけないから…
「いや誰でもないよ、ただこうだったら幸せかなとか…単なる想像や!」
「そーですか。僕は琢也くんは好きな人のこと思って書いてるんだと思ってましたわ、だからこんないい歌詞かけるんやな〜と(笑)」
「アホぬかせ(笑)」
顔では笑ってるつもりだが、心は傷だらけや…
〈真太郎side〉
琢也くんはよく僕の家に遊びに来る。
もう家族みたいなもんやけどな(笑)
こんな変態でドラムと女にしか興味ない俺を見捨てないでくれてる琢也くんに感謝やな〜
そ〜いえば琢也くんの好きな人の話とか聞いたことないなー。
あんないいラブソングかけるくらいやから好きな人ぐらいおるんやろな。
とか思ったけど結局いないらしいな
琢也くんの彼女になんてなったら幸せやろな〜!
とか心の中で1人で喋っていると、琢也が話しかけてきた。
「真太郎は好きな人おらんの?」
おぉおぉ、そーきましたか。
実は俺は今彼女がいる。
まぁ本気で好きって言ったら嘘になるかもだけどな、付き合ってみたら何か変わるんじゃないか思って気になってる人と付き合ってみた。
「僕今彼女おるんですよ」
「……」
え、琢也くん固まっとる。そんなに衝撃的やったかな??
「おぉ、そっかそっか!上手くいくとええな!」
「ありがとうございます(笑)」
〈琢也side〉
「僕今彼女おるんですよ」
その一言で俺の中で時間が止まった。
かのじょ?
あぁそうかそれが普通なんや。
「おぉ、そっかそっか!上手くいくとええな!」
俺の最大の演技力を引き出しても、引きつった笑顔しかできなかった。
こんなに傷だらけついても真太郎が好きでたまらないなんて……
「じゃあ俺そろそろ帰るわ!ありがとなー!」
「こちらこそ!また来てくださーい」
俺は自分の家に帰りベットに倒れ込んだ。
あぁ、ダメだ。1人になった途端涙がどうしようもなく溢れた。
ぬぐってもぬぐっても頬を伝う涙。
誰にも気づかれないように、押し殺して押し殺して、俺は心の中で、真太郎!真太郎!と叫んだ。
〈真太郎side〉
やっぱ琢也くん帰ると寂しいわ〜
と、ぼーっとしてると携帯がなった。
ピロリロリン!ピロリロリン!
ああ、電話や!彼女か、
「もしもし?どないしたん?」
「いやただ声が聞きたかっただけ…」
「なんや可愛いこと言うな(笑)」
そんなくだらない話をして電話を終えた。
なんでやろ、幸せなはずなのに…
なんか物足りないなー
やっぱ俺男といる方が楽しんちゃうかな(笑)
時計を見るとあっという間に夜の10時、シャワー浴びて寝るか。
真太郎は眠りについた、
〈琢也side〉
今日も真太郎の家に遊びに来ていた。
あぁ〜こんなときに限って、テレビでやっているのは恋愛ドラマ。
あんま見たくないんやけどな〜
俺はできるだけテレビに気を取られないように新しい歌詞でも考えることにした。
でも普通にしててもテレビの内容は嫌でも頭に入ってくる。。
(私、あたが好きなの!!あなたに彼女がいることは分かってる。でもどこにいてもあなたのこと考えてしまうの!)
はぁ、まるで今の俺やな。
(あなたとご飯食べに行ったり、家に遊びに行ったり、それだけでも幸せだった!でもちゃんと付き合って、また新しい幸せが待ってると思うと、この気持ちを言わずにはいられなかった!)
今以上の幸せ…
真太郎とちゃんと付き合って…あんなとこやこんなことして…
そしたらどれだけ幸せやろ。考えるだけで幸せなのに…