∞短編集∞
□丸倉
1ページ/5ページ
橙side
「なぁたっちょん?」
僕はスマホから目を上げ、同じソファの隣に座ってゲームをしている横顔に声をかけた。
7月。
なんや地球温暖化か何か知らんけど、雨は降らんしお天道様はピーカンやし、湿気はひどいしで散々やった梅雨がやっと明けて来たと思ったら、今度は土砂降り。
今日はやっとお互い学校のスケジュールに余裕が出来て、バイトの休みをお互い合わせた貴重なおデート日やって言うのに!
「んー?どしたんマル」
じんわりかいた汗でTシャツの袖がピッタリくっついたとこをポリポリ掻きながら、こっちも見んと返事をする大倉。
え、ちょっと寂しいやん。
僕は今日楽しみやったんに。
しかも一緒に居る時は名前で呼ぼうって約束したのに…
「そんな狩り楽しいんや」
スマホにまた目線を落としてぼそっと呟いた。暑さによる気だるさも手伝って、何となく嫌味な口調になる。
「なにそれ、」
大倉は、両手に握っていたゲームを閉じてテーブルに置いた。
あー、これまた喧嘩パターンのヤツやん。。