第2章〜セカンド・ラヴ〜

□第1話 祖父の遺言
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「遺品整理ったって、どっから手をつければ…。ってかこれ、完璧雑用押し付けられたよな...」

守人の脳内で『今更言ってどうする』という祖父の突っ込みが聞こえたような気がした。

「とにかく、この本棚から仕分けするか...。にしても、すげぇ数...。これ1人で管理するとか、やっぱり神主って大変なんだな。そう言えば、じいちゃんが死んだらこの神社誰が継ぐんだ?父さんは絶対やらないし、父さんには兄弟もいない...。もしかして、俺?」

そこまで言って、頭を横に振った。

「俺、この前やっと大学決まったのに、無理だっつうの...」

守人は、小さい頃から考古学者になりたかった。そして、その為の勉強を積み重ね、僅かな推薦枠を勝ち取り、念願の大学に合格したばかりだった。

仕分けは案外楽で、1時間もせずに半分片付いてしまった。守人が手に取った本をダンボールに詰めようとすると、本から手紙が落ちた。

「ん...?なんだこの手紙。『石上守人殿』...。俺宛?」

〜守人へ
この手紙を読んだという事は、儂が死に、その後始末をお前が頼まれたんだな。ご愁傷さまだな。


守人はふっと笑った。

「死んだ人間が言うなよな」


お前は、考古学者になりたいと言って小さい頃から神社の手伝いをしに来ていたな。畑違いだと何度言っても聞かないところは、儂譲りかも知れんな。
守人。お前に頼みがある。この神社の事だ。もう気づいているだろうが、この神社には後継者がいない。お前の父親は今の生活を変えるつもりは無いだろう。だから、儂は考えた。儂を置いてこの神社をよく知ってるお前に、儂の跡を継がせたいと。


「...」


だが、お前には夢があるだろう。それを壊すのは、流石に儂でも気が引ける。だけど、この神社を、儂は残したい。その理由を、お前自身で気づいて欲しい。この手紙にもう一枚紙を挟んでいる。そこへ行ってきてくれないか。そして、自分の将来を考え直してみて欲しい。

祖父より〜

「遺言か...。どれどれ...『大国御柱神宮(おおくにおんちゅうじんぐう)』...?どこだここ?知らない神社だな」

手紙に挟まれていたメモ紙には、神社の名前と簡略された地図が書かれていた。

「まぁ、休憩がてら行ってみっかな」

そう言って、守人は家を出た。
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