第2章〜セカンド・ラヴ〜
□第3話 家探し
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魔法の森の入り口まで来て、守人は宇女に声をかけた。
「この世界って、俺の事変な目で見ないんだな。まったく訳の分からない変な人間がやって来たって言うのに」
「ここでは、変な人間や変な妖怪が常識なんです。私もここに来た時に言われました。『幻想郷は全てを受け入れる』って。きっと守人さんの世界からすれば、ここは理想郷なのではないですか?」
宇女は、隣で歩いている守人の顔を見る。身長から考えて、その仕草は【上目遣い】となる事を、宇女は知らない。
「あ、あぁ。そうかもな...。(やっべぇ。な、なんかドキッとした...)」
「...?あ、着きました。ここが香霖堂と言って、森近霖之助さんという方が営われているお店です」
守人がその建物を見上げると、【香霖堂】と書かれた看板があった。
「霖之助さん、こんにちは。少しよろしいですか?」
「いいよ、いらっしゃい」
守人がぼんやりと看板を見つめている間に宇女は霖之助と挨拶を交わし、入室の許可を貰った。
「なにぼんやりしてるんですか。行きますよ」
宇女は守人の袖を引っ張った。
「ちょっ...宇女」
守人は思わず宇女の名を呼んだ。すると宇女は立ち止まり、守人を見返す。
「え、俺なんかおかしな事言った?」
「あ、えっと、そうじゃなくて。なんか、驚いちゃって...」
「...?」
宇女は守人から顔を逸らし、そそくさと香霖堂の中へ入っていった。
「何だったんだ?」
守人は首を傾げた。