第1章・博麗の巫女と大国巫女

□幻想郷へ来た意味。
1ページ/5ページ


春も過ぎ、葉桜となった夜の博麗神社の縁側で、宇女は一人茶を飲んでいた。

「暇だわ〜」

宇女は湯のみ茶碗を置いて、手を組んで伸びをした。さぁっと通り過ぎる風は少し湿気を含んでいて、宇女は懐かしさを覚えた。

(そう言えば、向こうの世界じゃ、この時期になったら田植えが始まって、農民達が騒いでいたわね...。おかげで仕事も増えるし...それもなくなった今じゃ、懐かしい思い出よね...)

「あら、暇なら私が相手をしましょうか」

宇女が、のんびりとそんな事を考えてると紫の声が聞こえた。

「霊夢なら異変解決に言ったわよ。私はその留守番」

「知ってるわ。貴女は行かないの?行きたくてウズウズしたりしないのかと思って来てみたのよ」

「もし、そうだと言ったら?」

「あら、違うのね。大国巫女の名が廃れるわ」

紫の皮肉に、宇女は少し視線を落として返答する。

「霊夢達も同じ事思ってるのかしら」

宇女は数時間前の出来事を思い出していた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ