sub小説
□針混合
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車窓より見える景色はどの時どの国であろうとも変わらぬものだと、信幸はほんの少し笑った。
信幸は今から11年前に家族を失った。
たった二歳であった信幸が生きていくのは難しかったが、そこはそれ、今まで普通ではない人生を生きてきたのだ。
当然のように処世術だって身につけていたし、何より変化の術を駆使して。
家族の死んだ場所に信幸がいれば、ひょっとしたら喪うことはなかったのだろうが、生憎その日は信幸は家の外にある森にて人ならざる生き物たちと交流していたのだ。
それを悔いた事はこの人生の中多々あるし、
もう二度目の失敗をしないと己に固く誓った。
どうかあの日助けれなかったことを許して欲しい。