成り代わり部屋
□短編集
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「……まさか生きているのか」
最早目を開けることはないと思っていたのに目が開き、身体はダルいが其れこそ生きている証しと驚いた。
「目覚めたか」
「貴方は」
「小松、尚隆という。名前を聞いて構わんか」
「竹本、一(はじめ)と。大佐をしております。此処は…?」
「長い話だ。驚かず聞いてくれ」
本当に長い話だった。異国の、それも王になったと聞いて空笑いが漏れた
「小松殿、俺は王にはなれない
40預かった部下を全て故国に帰せず、上からの命に背き特攻を止めた
俺は生き汚く、醜いケダモノだ」
「自分を理解しているならばそれに越した事はない。部下を喪ったなら俺も同じ
すくなくても天と麒麟はオマエを王の器と見た。
………一度死んだと思ってやってみると良い。俺は王の器だと思うがな」
言い残し立ち去った小松殿の言葉を反芻し溜め息を吐く
最早死んだ筈の命だ
今度は後悔なく生きてみようか
身体を叱咤し起き上がり女官に居場所を聞いた
「主上!」
「あーそのままで。これ以上近寄れば血に酔うのだろう?おまけに何人の怨みを買ったか俺自身わからぬ。
そこで聞いてくれ」
「はい」
金の髪の美しい長身の美女だ隣の小松殿のツレの小さな子供の金に比べれば淡いが、それでも美しい陽の様な金の髪
彼女が俺の僕だという
全く、未だに信じられないが
「まずは礼を。血を纏い米兵の死体もすぐ間近にあって助けることは難しく辛かったろうに。礼を申し上げる
正直な話、確実に死んだと思った。貴女にも、女仙にも御礼申し上げる
貴女に問おう。本当に真実私で良いのか?考え改めた方が良いと思う。私は悪いが立派な国主になれる自信皆無だ。」