成り代わり部屋
□短編集
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U外主人公
屋根に寝る。昔々からの穏やかさの象徴のような時間に笑みが浮かぶ
己は瓦に寝転がり、隣には己の布団を広げてる。きっと春の麗らかな陽を浴びてふかふかになるだろう。
「良い天気だ」
<リクオ様ぁ!!??どちらにいらっしゃるのですか!?>
「雪女?」
屋根の縁からそろそろと下を見れば石の下まで恐らく俺を捜す雪女。・・・流石に石の下には隠れられねぇと思うがな
「雪女の全力は時々ビックリするよな」
何時だって全力の彼女は、猪突猛進の二文字が似合う少女だった
世は随分と平和になったモノだ
奴良リクオとして生まれる前、本の一瞬前までは戦地にいた俺。
この今から100年以上昔の頃だ。
あの頃に比べれば、国は豊かになった。それは嬉しいことだ。
明日食うモノに困る生活を、民は抜け出たのだから。
侍が消え、刀が消えたのは寂しいことではあるが。
「リクオ様、雪女が探しておりまする」
バサバサという羽音と共に屋根に舞い降りた三羽ガラス
「何だ、お前達。今は昼間だぞ?珍しいな」
「見回りです!!」
「「兄が叩き起こしてくれまして。」」
「ナルホド。猪突猛進がもう一羽か」
くつくつ笑ったリクオは近くにいた、ささ美とトサカ丸の頭を一撫でし、黒羽丸の髪をワシャワシャ掻き混ぜるとニッコリ笑って屋根から飛び降りた
「「「若!!??」」」
「だいじょーぶ。見回りご苦労さん」
ヒラヒラ後ろ手に手を振って、そのまま雪女の元へと足を進めるリクオに溜息と苦笑が漏れる
「若って、本当に数えで8なのかな?
もの凄い色気だったよね。」
「あぁ///」
「(コクコク)///」