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□風邪
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一角
「あっちい」
「そこで服を脱げば風邪は悪化するぞ。」
「うぐっ」
天下の十一番隊第三席といえど、真冬の川に酔っ払って落ちれば流石に風邪を引く。
朝、信幸が散歩中に見つけて拾わなければずっと川原でびしょ濡れで倒れていただろう。
「(誰だって十一番隊の隊員を拾いたくはない。)」
仕方なく家に運び込み、看病している儂の奇特さよ。
「のぶゆきさぁん」
「平仮名になってるぞ、どうした」
「喉かわいたっす」
「はいはい。」
普段になく子供帰りしている男に苦笑しながら爺心を出した信幸は、その日一日休んで看病し、明くる朝全快した一角と隊舎に行けば、
山と積まれた書類と、黒いモノを背負っている弓親、ピリピリした剣八と恐らく八つ当たりされたであろう床に転がる平隊員に出迎えられた。
「一角ぅv」
「ひぃっ!?」
「おい弓親、終わったら寄越せ」
「はぁいv」
ズルズルと引きずられていった一角に頬を引きつらせ、書類に手を伸ばそうとしたら、
「コレはあいつの仕事だ」
と奪われ、一角の机に置かれてしまった。
「(何かよく分からぬが)」
とりあえず手を合わせておいた。