君の知らない物語

□序章〜05〜
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他の女であれば困っているのを見ればきっと甘い言葉を掛けて。

反応を見ながら必要であれば手を貸したり、笑っているのを見れば近付いてどうしたのか、と声を掛ける。

彼女に対してそうしない自分が解らないが、何となくそれは当たり前のような気がしていた。

彼女は自分にとって、そう言う存在なのだと納得している。


(、、、我が事ながら意味不明やな、、、)


もしかしたら、自分は自分で思っている以上に彼女を―――と、其処まで考えて思考を無理矢理止めた。

確かに良い女だ。だが、お互いを其処まで知り合える程に出会ってから時間は経っていない。

お互いの心理を深く知れる程に言葉を交わした訳でもない。


だからきっと、この感覚は恩人に対する敬意のような物なのだろう。


そう決定付けて歩き出したのと彼女が女達から離れたのは同時だった。

ふと声を掛けたくなって、出来る限り明るい声で呼び止めた。


「ペルソナちゃん♪遊びに行かへん?」

「、、、ナナシ。仕事はどうした、仕事は」

「いやぁ、今日はもうえぇかなぁと、、、」

「つまり終わってないけどヤル気が失せたと」

「そういうこっちゃね!!そんな訳で街に出てみんか?」


実際は殆ど終わっているのだが、少し残っているので誤魔化してみる。

彼女は何か言いかけたが、言葉にはせずに少しだけ視線を流した。

何か考え込んでいるらしい。
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