Persona〜The first strategy〜

□episode・03
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ーーー同時刻、峰不二子。

「、、、ふぅ」

「ごーえーもーーーん!!仕事の前に辛気臭い顔しないで頂戴!何なの?」

仕事の打ち合わせをする為に自身を呼び付けた五エ門が眉間に皺を刻み込んだまま話すので良い加減に苛立ちが抑えきれなくなって来た。

かれこれ数十分はこんな様子だ。

仕事先の警備の話をしていたのに、唐突にため息を吐くのもこれで何十回目か解らない。

苛々と非難すれば五エ門は「すまん」と短く言ってから改めて資料を指差して説明を再開する。

「此処が要だ。其処をまず抑えたい。後はどうとでも、、、どうした、不二子」

「、、、あんた、恋でもしてんの?」

「ぶっ!?!?」

真面目な顔で語りつつも眉間のシワが伸びない五エ門を見てふと思ったのはそれだ。

何と言うか、悶々としている感じがしただけだったのだが、この反応を見る限りは大正解だろう。

「お相手は?良いじゃない、教えてくれても。邪魔はしないわよ?」

「べ、別にそんな、、、色恋等では、、、!!そ、それよりも仕事の話を!!」

必死に話題を変えようとする五エ門を遮って微笑む。

指先を資料の上に置いてやんわりと話を中断させると面白い位に動揺した。

「此処の所、上の空だけど、、、確かアンタ、ヴァレンティーノの所に行ったのよね?その後だから、彼処の女とか?」

「、、、っ!?そ、それは、、、」

「当たり☆そうねぇ、彼処って女も多いものねぇ、、、どんな子なの?」

教えなさいよ、と強気に微笑むと何故か五エ門はふっと笑った。

何処か力を抜くような、ホッとしたような、、、五エ門らしからぬ笑い方だ。

思わずじっと見ていると視線に気付いたのか五エ門はボソボソと聞き取り難い声で言う。

「色恋ではない、、、が、少し変わった女性に会ったのだ」

「へぇ、どんな?」

五エ門をして“変わっている”と言わしめる女性には不二子も興味がある。

尤も、五エ門に女の機微が解るとは思っていなかったが。

「、、、そうだな、、、敢えて言うなら相応しくないと、そう思わせる魅力があった」

「相応しくない?不細工って事?」

随分と自分を高く見積もっているのね、と冷めた目で不二子が五エ門を見るが、彼は気にした様子も無く否定した。

「違う、拙者ではなく、、、いや、拙者だな。彼女に拙者は相応しくない、と。そう思うような感覚がした」

「それは、、、面白いわね。見てみたいわ」

思わず素で返す。

相手の男に“自分では相応しくない”と思わせる程、となれば見た目も中身も相当の美女だろう。
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