君の知らない物語

□第二章〜05〜
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―――そして私達はレギンレイブ城へと向かったのだった。

予選であるポーン兵との戦闘は直ぐに終わったのだが、戻らない人数の多さにどよめきが走る。

けれど、私の心は凪いでいた。


(、、、今の所、戦力はこれだけ、、、城に潜入でもしようかと思ってたけど、この人数だとウォーゲームで目を逸らすにしても直ぐに勘付かれる)


静かに策を練る。

周囲には様子を見に来ていたチェスの兵隊達の気配もあった。


(、、、見られてる、か。まぁ戦争を仕掛けようとしている側が暗殺に備えないなんて事はないかな)


だからと言って諦めるつもりはないが。




【Narratorside】




ウォーゲームが始まって、まず一回戦目でアルヴィスがレノに勝利した。

そして二回戦目でジャックがパノに敗北してしまい、一勝一敗で迎えた三回戦目。


「じゃ、行くぞー、、、ジャンケーン、ポンッ!!!」

「勝った、じゃあ私が出ます」

「おぅ、頑張れよペルソナ!!」

「うん、勝つから見ててねー」


ゆるーく言い放つペルソナに観衆達が戸惑うようにざわめいたが、当の本人は何の気負いも無いままリングに上がる。

それを確認してポズンが手を上げた。


「では、三回戦、、、メル・ペルソナVSチェス・ウーエル!!」


宣言と共に弓を引き絞る。

ペルソナに対戦相手のウーエルは不満げな顔を見せる。

それを見て訝しげな顔をしたのは観衆達だけではない。


「、、、彼女が持っているのはただの弓に見えるが」


アルヴィスがそう言うとメルの面々も首を傾げる。

木で出来た装飾もない無骨な弓はどう見てもARMではない。

ナナシだけは静かに彼女を見ていた。


「なぁナナシ、ペルソナってどんなARM使うんだ?そう言えば俺まだ見た事ない」

「あー、見れば解る、、、と言いたい所やけど、多分今日は見れんな」

「今日は見れない、、、?どう言う事?」


首を傾げるスノウにナナシはニヤリと笑う。

アルヴィスはじっとペルソナを見て、小さく呟く。


「、、、どうやら、ナナシの言う通りのようだな」

「え、なんだ!?どう言う事だ?」

「ギンタン。良く集中してみて。あの子の弓、、、ううん、矢の先をしっかり見て」

「矢の、、、先?」


ドロシーの言葉にギンタ達が弓の先に集中する。

そうして見えたのは魔力の塊だった。

ウーエルはそれに気付かない様子で訝しげに爪のようなARMを構えた。
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