君の知らない物語
□第二章〜03〜
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―――ヴェストリの現状は言ってみれば“最悪”だった。
田畑は焼かれ、人々は傷付き、そして多くの死者が野晒しにされている。
悪夢のような状態に無意識に奥歯を噛み締める。
洞窟に向かったチェスの兵隊を追うと言うナナシ達と別れて、私は周辺の警戒をしながらスノウ達と人々の救護等を行う事になった。
「よし、それじゃあ私が怪我人を治すよ!!」
「オイラは作物を用意するっス!!」
「私は周辺の哨戒と、それから情報収集をするよ。嗚呼、野営地の設置と簡単な物資補給も必要か、、、エド、スノウを手伝いながらで構わないから私が周辺の哨戒をしている間に今村にいる人数を確認してくれないかな」
「解りました!私も野営地の設置をお手伝いしますぞ!」
「ありがとう。さて、それじゃあ哨戒に行くけど、もしも此方にチェスが現れた場合は狼煙でも何でも上げてくれる?直ぐに戻って来るから」
スノウとジャックが「了解!」と元気よく返してくれたのを確認してから周辺の哨戒に向かう。
情報ではチェスの兵隊は二人との事だが、万が一の事もあるので注意しておくに越した事はない。
私は弓を片手にその場を離れた。
・・・
「、、、はわぁ、、、凄い人だねぇ、ペルソナさんって」
「そうっすね。何て言うか、手際が良いって言うか、、、慣れてる感じがするッス」
「やはりギルドの一員、と言う事ですかな。見事な指示です」
「それもあるのかもしれないけど、何て言うか、、、あんな風に私達の事まで気にしてくれるんだもん。きっと良い人なんだね!!」
「、、、えぇ、きっと」
それぞれが小さく笑って、直ぐに作業に取り掛かる。
誰もが自分に出来る事を精一杯にこなしていた。