君の知らない物語
□第二章〜01〜
1ページ/2ページ
そして時勢は移ろう。
ルベリアにやって来た依頼の数々を整理していたらしい仲間達が大騒ぎしながら声を掛けて来た。
丁度街へ向かう所だった私は足を止めて話を聞く。
「一億のARMだってよ!凄いな!よっしゃ、ペルソナ俺と勝負しようぜ!!」
「嫌。勝負よりも先にメリアさんのミートパイを習得したい。レシピは完璧なのになぁ、、、何がいけないのか、、、」
「お前はよー、、、まぁ良い、出来たら俺らにも食わせろよー」
笑ってそう言う仲間達に私も笑って、やはりこの場所が好きだと改めて思う。
(、、、きっと、このままで良い。それが正解なんだろう)
例え、もう二度と元の世界に戻れなくとも、それが。
感傷的になりそうな自分を鼓舞して街に出る。
いくつか日用品等を買い足して、砦に戻る。
其処に丁度出掛けようとしていたらしいナナシが居た。
部下も居るので仕事か酒だろう。
「ナナシ、、、仕事?酒?」
「仕事や。遺跡入るんやけど、一緒に来るか?トラップ結構多いらしいからな」
「行く。荷物だけ置いて来るから待ってて」
「おう、ゆっくりでえぇで」
自室に荷物を置いて砦の入口に戻るとナナシ達と見送りに出たらしい仲間達が居て、私の姿を見て笑う。
「気を付けてね、ペルソナちゃん。どんなに強くても貴女は女の子なんだから」
「メリアさん、ありがとう。大丈夫、危なくなったらボスに押し付けて逃げるから」
「そうそう。大丈夫や、俺がしっかり守ったる。よっしゃ、行くか!!」
(、、、突っ込まないのか)
「ペルソナも一緒なら心強いぜ!!」
「褒めても何も出ないからね」
軽口を叩きながらルベリアを出る。
見送りに手を振って、なんとなく振り返る。
手を振れば振り返してくれる優しい人達に、私は「行ってきます」と笑う。
―――それが最後になるとは、知らないまま。