君の知らない物語
□第一章〜03〜
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【ナナシside】
何度か意思を確認したが、彼女は言葉を曲げる事は無かった。
それならば早い方が良い、と砦に戻ってから仲間達に彼女が仲間になる旨を伝えると皆大喜びで宴の準備を始める。
ペルソナはそれを見て何処か気恥ずかしそうにしていたが、女達に「主役なんだから!!」と連れ出されてしまった。
それから程なくして宴が始まると、外に出ていた仲間達も戻って来て彼女の為の宴に参加する。
それを横目に見ながら酒を飲む。
けれど、心の中は喜色一色、と言う訳でもなく。
ペルソナがギルドに入りたい、と言った時。
彼女が言った言葉が自分でも不思議な程に気になっていた。
(、、、誰かを守る為に、か、、、)
アズリア達に聞いた話を思い出す。
彼女はボロボロになり自分達を庇いながら泣きそうな顔をしていた、と言っていた。
『、、、わ、たしの目の前で、、、もう、奪わせない、、、!!』
そう言ってペルソナは二人を守った。
記憶が混濁していたのだろう。
もしくは、無くしたばかりだったのかもしれない。
―――彼女にとって大事な何かを。
(、、、せめて、もう無くさんようにしてやらな、、、)
せめて、もう二度と彼女から離れる事の無いように。
何故か、彼女の目を見てそう思った。
もう二度と、彼女の前から大事なモノが消える事の無いように。
「、、、自分、実は結構一途かもしれんなぁ、、、」
思考から焼き付いたように離れない彼女の瞳を思い返しながら小さく呟くと横で飲んでいたスタンリーが呆れたように言う。
「ボス、それはないわ。確実に」