君の知らない物語
□第一章〜02〜
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【神無side】
―――その世界には“火影”と呼ばれる忍集団が居た。
そして、火影忍軍達は“魔導具”と呼ばれる不思議な道具を使って影の世界を生きていた。
影は時代の移ろいと共に形を変え、いつしか魔導具を扱う者達は“麗”と呼ばれる組織に所属する者が大多数になっていた。
麗をまとめて居たのは“紅麗”と言う男だった。
意志の強い、忍らしい男。
私は彼に拾われて、麗に所属していた。
何故彼に拾われたのかは解らない。
私には紅麗に拾われるまでの記憶が無かった。
それは私の家系に関係する物らしく、私の家は彼の生家である火影当主の家系と懇意にしていたらしい。
記憶を無くしていた私を拾った紅麗は私に諜報員としての技術を教えてくれた。
そして私がある程度の技術を習得した頃、部下に紹介した。
其処で出会ったのが、彼だった。
「初めましてぇ、お嬢さん♪自分、ジョーカーって言います」
「よろしく、ジョーカー。私は神無です」
「ん、良い名前やね。可愛い♪」
「神無」
にこやかに名前を褒めるジョーカーに礼を言う前に紅麗が叱責するように私の名前を呼ぶ。
咄嗟に私は口元を押さえていた。
(しまった、名前、、、名乗る時は仕事上の名前でって言われたのに)
紅麗は私に優しいので忘れがちになるが、紅麗以外の人間は信用してはならない、と言われていた。
私が記憶を無くしてしまったのは、元々は彼の義父が私の家系のとある能力を狙ったが故だと聞いている。
記憶を無くしたのは身を守る為であり、そして思い出す事で危険に近付く事になると説明もされた。
だからこそ、仕事上の名前を名乗ると言う話になっていたのだ。
「、、、その、ペルソナです」
ボソリと言う。
既に遅いと解っていたがそう言うとジョーカーはにこやかに応える。
「ペルソナちゃん?へぇ、其方もえぇ名前やな」