君の知らない物語

□序章〜05〜
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「、、、行く」

「よっしゃ!!デートやデート♪」

「デート、、、なのかなぁ、これ」


苦笑しながらも落ち込んでいる様子は見せない彼女に無意識に安堵しながら、街へ向かうのだった。

街に着くと彼女は何処か驚きながら周囲を見ている。

見覚えのあるようには見えない様子だったので明るく声を掛ける。


「ペルソナちゃんはどっか行きたい所あるか?」


問い掛けると彼女は少しだけ悩むように唇を撫でながら答える。


「まず何があるか解らないから特には無いんだけど、、、あ、酒場行きたい、酒場」

「飲むんか?」

「飲まないけど、情報収集には適任かな、と。それか看板娘がいる食堂」


(嗚呼、情報収集か)


決して長くはない付き合いだが、彼女が賢い女性である事は解っていた。

恐らく情報収集の為に、もしくは社会見学のような物だろうと納得する。

記憶が無くともこうして行動出来る辺り、少なくともそう穏やかとは言えない環境に居たのかもしれないが。


(、、、ま、俺等も人の事は言えんし、もう此処まで知り合うたら何処の誰でもペルソナちゃんはペルソナちゃんやな)


いつか離れて行くかもしれないが、今彼女は此処にいて、一緒に街を見ている。

そう思ったら何となく笑みが溢れた。


「ほな食堂行こか!はいはい、どーぞぉ♪」


言いながら手を差し出すと彼女は「なに?」と実に不思議そうにする。

慣れてないのか記憶が無い所為なのか、と一瞬だけ複雑な気分になった。


「繋ぐやろ。年頃の男女が街に出るっちゅーたらそらもう繋ぐやろ」

「それは“恋仲”の年頃の男女が街に出る場合なんじゃ、、、?」

「ほな行こか!!」

「勢いで誤魔化すな、、、」


そう言って少し戸惑いながら手を取る彼女を見て、いつまでこうしていられるのか、と考えてしまう自分が居た。


【To be continued】
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