君の知らない物語
□序章〜02〜
1ページ/3ページ
【ナナシside】
―――盗賊ギルド首領・ナナシ。
とある遺跡に希少価値の高いARMがある、と盗賊達の間で噂があった。
その遺跡の場所を見つけ出し、別の盗賊ギルドとどちらが先に取るか、と競っていた為にそれなりの人数で向かってみると見事にARMを入手する事が出来た為、そのARMの情報を集めてからアジトに戻ってみるとアジトに残っていた非戦闘員達が慌てた様子で駆け寄って来た。
「なんや、どないした?」
「ボスっ、大変です!!アズリアとニールが外に出ちまってるんです!!」
「、、、外?どういうこっちゃ」
「今、前に仇討ちに来た輩がまた来てるって情報が、、、!!」
言われて思い出したのはそれなりにレア度の高いARMを持っていた奴だった。
戦闘員であれば易々と負ける事は無いが、二人はまだ幼い。
「ちっ、、、あの男やったらガキでも殺すな、、、!お前ら、全員近場探せ!!手ェ空いてる奴は全員や!!見付けたら教えろ!!」
「「「了解!!」」」
一斉に駆け出す面々に混じって駆け出そうとしたナナシに声が掛けられる。少女の母だ。
「ボス!あの子達、木の実を取りに行こうとしていたんです!!もしかしたら、、、」
「解った!!お前ら此処で待っとれ!!念の為にホーリーARMだけ用意しとけ!!」
指示を出して駆け出したのと同時に凄まじい魔力を感じた。
(彼方か、、、!?)
全速力で駆けると其処には傷だらけの女と、女を支えようとしているらしい二人が見えた。
どうやら無事らしい。
「無事か!!」
「「ボス!?」」
二人は声を揃えて此方を見る。
取り敢えず倒れそうになっていた女を支えると、女は此方をチラリと見て小さく唇を動かす。
しかし、言葉は音にならなかった。
そしてそのまま女の体から急速に力が抜けて行く。
「お、おい!!どないした!?」
「お姉さん!!ぼ、ボス、どうしよう、お姉さん、俺達を庇ってくれたんだ!!」
「お、お姉さん?何処のお嬢さんや?」
少なくとも見た事は無い。
周囲の村の人間でも無さそうな事は服装を見て解る。
ともかく、敵でない事は二人の必死さを見れば伝わったのでアジトへ連れて戻る事にした。