Persona〜The first strategy〜

□episode・18
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―――控えめなノックの音に不二子が扉に向かうと、其処に居たのはホテルマンだった。


「ルームサービスです」

「、、、あら?頼んでないわよ?」


覚えの無いそれに首を傾げるとホテルマンも首を傾げる。

けれどお代はもう貰った、と言うので取り敢えず受け取る事にした。

何だろうか、と警戒しながら部屋に戻ると先程まで付いていた筈の部屋の照明が消えている。

自分以外に誰も居ない筈の部屋の異変に不二子はスリットスカートの中に潜ませていた小型の銃を取り出す。

気配は感じないが、確かに誰かがいる、と直感が告げていた。


「、、、誰?レディの部屋に忍び込むなんて、悪趣味よ」


リロードしながらそう言うとキラリと光が反射して其方を見る。

先程ガラスを散らばらせてしまった其処の上。

月光を照り返す仮面が見えた。


「夜分に、失礼しました」


そう言って此方の機嫌を伺うように少しだけ微笑む口元に覚えがある。

キラキラとガラスの光と仮面の光が彼女の周りに飛び散っていて、何処か現実感が無い。


「、、、神無?」

「はい。滞在先が同じホテルでしたので、つい」

「、、、どう言う事?」


キツい口調で問い掛けながらも彼女に敵意が無い事も解って苛立ちや警戒よりも疑問が大きくなる。

彼女はするりと仮面を外して素顔を顕にした。


「すみません、どうしても今日中にお渡ししたかったので」


何を、と問う前に彼女が視線でベットの上を示す。

其方を見てみれば綺麗な化粧箱が置いてある。


「なぁに?あたしに?」

「はい。今日、あの後、、、パーティーが終わるまでは大丈夫だと思っていたんですが、、、途中で中止になったと聞いたので」


お詫びに、と言いながら彼女はするりと後退する。

出て行こうとしているのが解って咄嗟に引き止めていた。


「待って。何をくれたのかは知らないけど、、、プレゼントの感想位は言わせて頂戴。渡して逃げるなんてフェアじゃないわよ?」

「、、、それもそうですね。ふふ、ありがとう」


(ありがとう、なんて変な言葉ね)


そう思いながらも彼女の雰囲気が柔らかくて言葉にはならなかった。

ベットの上の化粧箱を手に取って開けて見ると、其処には二組のイヤリングがあった。
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