Persona〜The first strategy〜

□episode・16
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―――その日、不二子は非常に不機嫌だった。

前々から狙っていたお宝を横からルパンに掻っ攫われたからである。


(次会ったら承知しないわよ!!)


心の中で悪態を吐いてみても、今この場には誰も居ない。

その事にも腹が立つ。

高級ホテルの一室ではあるが、美しいレイアウトも苛立ちを増長させる道具にしかならない。


「、、、出ないわね」


先程から何度となく五エ門の携帯に掛けているのだが一向に繋がらない。

元々は彼と一緒に仕事をする予定だったにも関わらず、だ。


「もう、何なのよ!!」


キレ気味に携帯電話を放り投げる。

苛立ち紛れに投げた所為で窓際の棚にあったガラス製の水差しとグラスが割れ、床に破片が散らばったが、それすらどうでも良い。

今回のお宝はかなり素敵なデザインだったので何としても入手したかった。

転売目的ではなく、自分の為に欲しかった物なので確実に入手する為に五エ門と、それからルパンにも声を掛けたのだ。

尤も、ルパンの方には断られてしまったのだが。


(、、、ヴァレンティーノ、ね)


今回、屋敷に盗みに入ったのはルパン三世、と言う事になっていた。だが、気になる人物が居た。

神無、と名乗った女性。

彼女を知っていたらしい五エ門。そして、五エ門の言葉。


『、、、ルパン達と来ているようだった』


事件が露見したのは屋敷の主が程良く酔っ払った後の事。

騒ぎが大きくなる前に会場を出たが、既に彼女の姿は無かった。

小耳に挟んだのはパーティー会場の照明が落ちるのと同時に屋敷の防犯システムを乗っ取られて居り、コレクションルームへと続く扉のセキュリティーは完全に無効化されていたらしい。

屋敷のセキュリティーはかなり厳重な物だったので、数分間解除するのではなく完全に無効化されていた、と聞いて驚いた。

その話を聞いて思い返したのは少し前にあった事件。

怪盗ペルソナの事だった。


「、、、あの子が、そうかもしれないわね」


神無、と名乗った彼女。

本人からヴァレンティーノ関係者だと聞いた訳ではないが、恐らくそうだろうな、と思う。

そして結構な地位に居るのだろう。相応の雰囲気があった。


(嗚呼でも、悔しいわね、、、)


欲しかったのに、と小さく呟いたのと同時に部屋の扉をノックする音が響いた。




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