Persona〜The first strategy〜
□episode・11
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どよめきから数秒の後、ルパンは袖口に付けていた暗視ゴーグルを付ける。
周囲を見れば会場の人々は暗闇に対応出来ずに立ち竦んで居た。
チラリと横を見ると神無と次元が頷いて返す。
それを見て移動を開始した。
目的地はパーティー会場から少し奥まった場所にあるコレクションルームへ続く廊下の扉である。
人混みを摺り抜けて目的の扉まで来ると神無がカードキーを通して扉の認証を解除する。
それと同時に次元が扉を開けて先行し、ルパンと神無も滑り込むように扉を潜る。
扉が閉まるってから一拍置いてパーティー会場の方から声がする。
照明が復旧したらしく安堵の声が上がっていた。
それを確認して神無が悪戯っぽく微笑む。
上手く行ったでしょう?と言うように見上げて来る彼女にグッと親指を立てて返すとルパンは廊下を進む。
暫く進んだ所で次元が感嘆の声を上げた。
厳しいセキュリティーがあるはずの廊下を暗視ゴーグルだけで進んで居ると言うのに何の障害も無いのだ。
警備の人間も現れない。
一応、前もって神無が主立ってセキュリティー関係の下準備をしておく事とルパンも幾つか策を準備しておく事を話し合っていたので次元の担当は荷物の運び出しと有事の際の対応なのだが、此処まで何事もないと逆に驚く物である。
「本当に気付かれねぇな。どうやったんだ?」
問いながら次元が神無を見ると彼女は暗視ゴーグルと繋がっているインカムをカチカチと指先で鳴らしながら答えた。
「先日、屋敷の主が新しいセキュリティーシステムを入れていたので、それに細工をしたんです。セキュリティーの関係で照明の操作権が内部にしか無かったので、原因不明の照明の不具合、ではなく原因明瞭な照明の不具合だとアラートが出るように」
「成る程。見える原因がありゃそれを直して終わりだろうな」
パーティー会場の照明だけを落としたのではなく、実際はコレクションルームに続く扉から奥のセキュリティーの電源も一緒に落としたのだが、復旧されたのはパーティー会場の照明だけだ。
「ま、それだとあんま長い時間照明落とせないんだけどな」
ルパンが付け加えるように言うと神無は「其処は勝負でしたね」と苦笑する。
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