蒼穹を仰ぎて
□失われたもの
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【失われたもの】
ターミナル内に戻ると、お嬢様の事を待ち侘びていたらしい数名が船に駆け込んで来た。
そしてお嬢様の怪我を見て卒倒しかけながら手当てを始める。
何となくそれを見守っていると船を操縦していた男が俺達を呼ぶ。
「申し訳ありません、助かりました。謝礼ですが、、、」
これくらいで、と示された金額に目玉が飛び出るかと思った。
「な、なな、なっ!?こ、こんなに!?!?」
「申し訳ありません、私の私財からではあまり、、、」
本当に申し訳なさそうな男。
新八が少ない、と言う意味ではないと言いたそうで言えていない。
「え、いや!!こんなに貰っちゃって良いのかと、、、ねぇ銀さん?」
「そーだなぁ、、、俺等おっさんの手助けしかしてねぇしなぁ、、、いやでもくれるってんなら貰うぜ。一応、俺等も命懸けだったからね。結構銀さん危なかったからね」
「アンタ人として恥ずかしくないのか!?危なかったじゃなくて現在進行形で危ないよ、思考回路が!!人として!!」
ドタバタとしていた最中。
小さな悲鳴が聞こえて、瞬時に静寂がその場を支配した。
何事か、と悲鳴の上がった方、、、お嬢様の方を見てみれば、綺麗に手当てをされた後らしく、首元から若干白い包帯が見えていた。
尤も、周囲の奴等の表情はそれよりも白かったのだが。
「あの、此処は、、、?」
「地球、でございます」
「あの、貴女は、、、?」
「わ、私は貴女様の部下で」
「、、、あの、私の部下、って、、、?私、仕事なんて、、、あれ?」
目を覚ましたらしいお嬢様。
だが、どうも様子がおかしい。