蒼穹を仰ぎて
□天の眼
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―――約十数年前。
宇宙の片隅にとある情報屋があった。
それはとても小さな情報屋だった。
情報屋とは名ばかりで、調達屋でもあった其処に一人の少女が預けられる。
後に天の眼と呼ばれるその少女はその情報屋のノウハウを吸収して自身も情報屋になる。
すると彼女に追従する者が集まり始め、やがて組織は小さな物ではなくなった。
大きくなり始めた組織でやがて事件が起きる。
情報収集の最中に部下の部下が雇った者が何の関係も無い一般人を害したのだ。
その事に激怒したのは他の誰でもない少女だった。
組織の長となっていた彼女は雇われた男に罰を与えた。
そして男を雇った部下の部下、更には事情を把握出来て居なかった自身の部下すらも罰し、そして言い放った。
『今後、何の関係も無い者と知って手を出した者は自ら死ね』
その言葉を聞いた一部の部下達は慄き、冗談だろうと不機嫌故のヒステリックだ、と曖昧に場を濁そうとした。
しかし彼女はまるで聖女のような微笑みで付け加えたと言う。
『いや、寧ろ私が殺してあげよう。それが組織としてのケジメだ』
そうだろう?と側近達に問い掛ける彼女を見て部下は跪き、そして応えた。
『貴女様の手を煩わせる前に自害致します』
それ以後、彼女の組織への参入には必要な儀式として彼女の目の前で全く同じ台詞を宣誓する事になったのだと言う。
【天の眼】
宇宙を行き来する情報屋間では有名な話だった。
その鉄の掟のおかげか、彼女の組織は各国の政府にすら信用され、情報の売り買いを黙認される事となった。
そして月日は流れ、組織は情報力では宇宙でも噂される程の力を持ち始めた。
その事で焦りを見せたのは長く情報屋として活動していたテッラだった。
彼は代々情報屋をしている由緒正しい家柄である事を誇りとしたエリート意識の塊であり、女がのし上がるだけでも難しい業界で年若い女が自分を差し置いて噂になっている事を知り彼女に何度となく暗殺者を送った。
けれども彼女はその総てを回避、もしくは撃退してしまう。
これは何かがあるぞ、と彼は彼女に興味を持った。それが元凶。
「、、、と、そんなこんなである種のサクセスストーリーの最中の事故ですねぇ」
女はふふふ、とまた不気味に笑う。
しかし銀時と新八は全く笑えなかった。
桂も首を傾げて居る。