蒼穹を仰ぎて
□天の眼
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「いやいやいや!!それがどうして部下を狙う理由になるんだよ!!あれか?部下を人質に取って脅そうってか?」
「違いますよぉ。テッラは彼女に、、、天の眼にメロメロ☆になってしまったんですぅ。それで、結婚してくれぇ、、、と情けなく迫ってバッサリ拒否された、と言うのが事の真相でしてぇ、、、でも彼の中では事実が捻じ曲げられてるんですよぉ。彼女の部下が邪魔をしているのだと勘違いして、、、結果、あの事件を起こした訳ですねぇ」
「、、、とんだ勘違い男っつー訳か」
「えぇえぇ、そうです、、、だから、ちゃぁーんと守らないと、、、ね?」
そう言って銀時を見上げた女はふふふ、と相変わらず不気味な笑顔を浮かべて居たのだが、ふと気付く。
女の目は全く笑っていなかった。
(、、、成る程。彼奴の商売相手って事はそれなりの情報屋って可能性が高いんだよな)
つまり、この女は彼女の所在地を知っている。
勿論、それだけでは説明が付かない事は多い。
まず、“天の眼”が解らない。個人的な呼び名なのか、組織名で全くの別物なのか判断出来無い。
そして、もしもそんな風に狙われて居るのならば一介の万事屋に預けるのもおかしい。
似たような別人かとも思うが、何となく本人のような気がする。
「、、、そうだな。きっちり守らねぇとな」
取り敢えず目の前の女を見返して答えると女はそれまでとは違い、ニィっと口の端を持ち上げる笑顔を浮かべた。
「そうですね、守らないと、、、んふふふふ、桂さぁん、今回は追加の情報料は要らないですよぉ〜んっふふ、あ〜良い気分だわぁ、、、それじゃあ、今日の所はこれくらいですかねぇ?」
と、女が言ったのと同時に部屋の入口のドアが開く。
どうやら別の客が来たらしい。
それ以上居座れそうに無かったので部屋を出ると甘い声が掛かった。
「私、明花と言います。じゃあ、また来て下さいねぇ、坂田さぁん」
咄嗟に新八が反応したが、銀時は何も言わずに歩き出す。
そして暫く歩いてから舌打ちしながら頭を抱える。
「だーもう!!メンドくせぇ奴ばっかりか!!なんだっつーの、日々慎ましーく生きてる俺にこの仕打ちはねぇだろ、この仕打ちは」
「いやお前が言うのか、銀時」
「一週間でも慎ましく生きてから言って下さいよ、銀さん」
「何だお前ら、仲良しか。つかなんなの?マジでさぁ、、、俺って実は有名人なの?」
なんで名前知ってんだよ、と苛立った様子で銀時が視線を上げると桂がガバッと視線を逸した。
その反応に銀時の時間が止まる。
新八が「まさか」と眼鏡を上げながら問う。