君の知らない物語

□序章〜04〜
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そうしてやって来た街は予想以上に活気があった。

市場があるらしく、客引きの声も響いている。


「ペルソナちゃんはどっか行きたい所あるか?」

「まず何があるか解らないから特には無いんだけど、、、あ、酒場行きたい、酒場」

「飲むんか?」

「飲まないけど、情報収集には適任かな、と。それか看板娘がいる食堂」


大衆酒場や飲食店は情報の宝庫だ。

例え見知らぬ世界でも相手が人間である限りは適応される筈。

そして看板娘、と指定しておけばそれなりに身なりを整えた女性がいる店に行けるかもしれない。

この世界の一般女性のファッション感覚が解らないので参考になるだろう。

今の所はルベリアにいる女性達に服を揃えて貰っているが、一般人ではないだろう。

そんな私の意図を知ってか知らずか、ナナシはニカッと笑ってみせる。


「ほな食堂行こか!はいはい、どーぞぉ♪」


手のひらを差し出して笑顔を向けるナナシ。

意図が解らず間が空いてしまう。


「、、、なに?」

「繋ぐやろ。年頃の男女が街に出るっちゅーたらそらもう繋ぐやろ」

「それは“恋仲”の年頃の男女が街に出る場合なんじゃ、、、?」

「ほな行こか!!」

「勢いで誤魔化すな、、、」


断るつもりで居た私を見透かしてか、ナナシは全く動こうとしない。

案内されないと場所が解らないので動きようがなくなってしまった。


(、、、まぁ、良いか)


お世話になっているし、と何処か言い訳のように心の中でだけ呟いて、私は差し出された手を取るのだった。




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