春夏秋冬

□夏
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じ〜
じりじりじり
しゅわしゅわしゅわしゅわ....

「暑いわね〜....」
あたしはトボトボと補講帰りの学校から出た所だった。
真夏の気温がジリジリと責めてきて、汗が頬から伝う。
「ったく。こんな時にあいつは......。」

垂れる汗をハンカチで拭い、空を仰いだ。


「ひゃっほう〜〜〜!!」
遠くから、爽やかな涼しげな声がする。
声の方を見ると、、、
「やっぱり....」

赤毛の三つ編みの少女が、白いタンクトップと黄色いトランクス姿で、
最近高校の近所に出来た、波が出来る子供たちに大人気のプールで、
ウォータースライダーからサーフボードで一気に下降してくる姿が見られた。

プールの施設の中があたし達の学校から見えるのが自慢の建築物だ。

「ふんだ、スケート出来ないくせに。」
あたしは悪態をつき、彼女を横目で睨む。

「あ!おーいっ!!あかねっ!」
爽やかな甲高い声に驚いてそっちを見る。

見ると、サーフボードを小脇に抱え、大きく手を振る赤毛の少女の姿が見えた。

ーー前より日に焼けた??

あの娘は、日に焼けた、小麦色の肌がよく似合う。

「ふ、ふんっ。しょっちゅう屋外で遊んでるからだわっ」
そんな悪態とは裏腹に、あたしもつられてそっと彼女に手を振りかえしていたーーーー。

キラキラと輝く水面に反射する、彼女の赤毛や肌から垂れる滴。
じゃっぱーんっ!!
あたしに手を振ったあと、プールに向いては、一気に水面に飛び込んだあの娘は
ーーまるで人魚みたい......。ーーー


ふっと、自分がいる位置へと我にかえる。

校舎の隅に咲いている向日葵が揺れている。
太陽に向かう大きな向日葵はこんな言葉を言っていた。

ーー照れてばかりじゃ格好悪いよーーーー

そんな言葉を向日葵に投げ掛けられながらも、帰途へと向きあう。
しばらく行ってから、空を仰いだ。
雲1つない青空。
本当はーー。
この青空に叫びたいほど、
あなたを想っているということも。



ーーねぇ、乱馬。
うん。
帰ってから、誘ってみよう。
ーー ね、一緒に海に行かない?

自分の自我やプライドに、たまに立ち止まって迷う日もお互いにあるけれど。

きっと寸胴だなんて言われたら、いつものようにぶん殴って砂に沈めれば良い話。

そんなへこむ毎日を取り戻すように。あなたと出会って、笑顔になって、これから始まる夏休みのために。
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