魑魅魍魎の主
□初デートの際に観察をすれば新しい一面が見れます
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「彩菜さん!!」
「⋯⋯、どうしたんですか?」
雪女と毛倡妓、揃ってスパン!!と障子が開かれ、目をぱちぱちさせる。髪を纏めようと思って持っていたクリップがポロリと落ちた。
「まだ着替える前ですね!!よかった!!今すぐ顔と、歯を磨いてきてください!!その間どこにも寄ってきちゃ駄目ですよ!!!」
「え!?え!?」
「いいからいいから!」
「と、トイレは⋯!!」
「それも済ませてきてください!!」
ぽい、と追い出されるように自室から追い出された彩菜は首を傾げながら廊下を歩く。今まで見た事が無い程に、変わった様子の二人だ。
言われた通り、全てを済ませ自室に戻ると、朝食が用意されていた。
「??」
「今日の朝ご飯はここです!!」
「あの、」
「いいから早く食べてください!!」
「わ⋯!!」
箸を片手に朝食を食べる。なにやらバタバタとしていてかなり忙しそうだ。
「私もなにか、」
「ご飯食べ終わりましたね!!首無!!これ下げといて!!」
「あ、」
ちょうど通りかかっただけなのだろう。首無に、雪女は空になったお膳を押し付け、障子を閉める。その閉めきられる僅かな隙間から、彼の呆けた顔が見えた。なんだか申し訳ない。
「じゃ彩菜様!!ここに座ってください!!」
「わ⋯!!」
「失礼しますね!!」
絶対にそんな風には思っていないだろう!!確信が持て程どに、彩菜は二人に身ぐるみを剝され。白地に花が散ったワンピースに、薄桃のカーディガンを羽織り、薄い黒のストッキングを履かされた。
着替えが終われば雪女は化粧に移り、毛倡妓がヘアアイロンを使い髪が緩く巻かれ、仕上げと言わんばかりに、左耳の上に赤いリボンの髪飾りが留められた。
「いや、これ⋯どうしたんですか?」
「門に行けばすべてわかります!!あ、鞄はこれですよ!!」
「履物は玄関にあるショートブーツを使ってくださいね!!」
再び自室から追い出され、とりあえず素直に言われた通り玄関に向かう。雪女が言っていた通り本当にベージュのショートブーツがあった。ヒールもあまり高くはないため、歩きやすそうだ。
ブーツを履き、外へ出れば私服姿のリクオが門に寄りかかっていて、目がぱっちりと合う。
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