魑魅魍魎の主
□異変を感じたら後回しせずに病院へ行きましょう
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「よい、しょ!!」
ここ最近、自分の体調の変化に疑問しか浮かばない。体が重く、頭痛も続き、布団から起き上がれない事も多々あったが、それは気合いだけで乗り切った。
微熱も常にある状態で、ふわふわした感覚。つい先日まで仕事が忙しく、それがようやく落ち着いたため気が緩んでしまったせいだろうと、自分を納得させてきたのだが。
「ふあ⋯。」
今、とてつもなく、眠い。
毎日ちゃんと睡眠時間も取っているのだが、寝ても寝ても、寝足りない。着物の繕い物をしてもうたた寝をし、少し座っている時でさえ意識が飛びかけ、料理をしている時でさえも頭がぼんやりする。
やはり一度病院へ行くべきなのかな、と、洗濯物を干しながら空を見上げた。
「彩菜!ここにいたの?」
「え?あ、りくくん、」
縁側から草履を引っ掛け、ぱたぱたと走り寄ってくるのは、旦那だ。
関東大妖怪任侠一家、奴良組。そこへ嫁として嫁いだ彩菜は毎日家事を手伝う片手間に、自分の仕事を終わらせるという毎日を送っていた。
忙しいながらも、大好きな人と、優しい組員のみんなに囲まれて幸せな毎日を送っている。
「洗濯は彩菜の仕事じゃないでしょ!」
「えへへ、雪女ちゃんに頼んじゃったの。ずっと家事が手伝えなくて迷惑かけてたし、これくらいはお嫁さんなんだからやらないとね!!」
「でもそれは彩菜の仕事が忙しかったんだから仕方ない。それよりも休まなきゃ、」
「そこまで心配しなくても平気だよ。私こう見えても体力ある方だし、りくくんだってここ最近忙しいでしょ?」
「そう、だけど⋯。」
拗ねたように、プクリ、と頬を膨らませた彼の頭を優しく撫で、パンパン、と洗濯物を干す作業の続きに戻る。
「⋯手伝う。」
「え?大丈夫だよ。」
「終わったら、一緒にお茶飲もう?」
「!うん!」
忙しい中でも自分との時間をちゃんと作ってくれる彼に、複雑ながらも嬉しくなる。
二人で作業をやったため、干す作業自体はすぐに終わり、籠を元の場所に戻す。
「彩菜、休憩。」
「どこでお茶飲む?縁側?」
「うん。」
「じゃあ淹れてくるからりくくんは先に行って待ってて?」
「僕も手伝うよ。」
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