自由の翼

□大切なことは余裕があれば時間をかけてゆっくりと考えよう
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「夜会?」

「あぁ、前々から打診はあったんだが、今回だけは断りきれなくてね。来てくれるかい?」

「私は別にいいけど⋯正直初めてだからマナーとかダンスとか不安。」

「夜会までまだ一週間と少しある。仕事の間にハンジとリヴァイに教えてもらいなさい。」

「はーい!」

彩菜の夜会のイメージはとてもキラキラした世界で、貴族達がとても綺麗なドレスを 着て踊るものしかない。

庶民の庶民として育った自分には全く想像がつかない光景だった。

「あまり彩菜を表に出すことはあまりしたくないが⋯。とにかく気楽に考えてくれ。なにかあればこちらがフォローする。」

「やるからにはちゃんとできるように頑張るよ。私が行くだけで資金提供が増えるのなら安いしね。」

「⋯、そういうことはあまり言わないように。」

「エルヴィンは心配性なんだよ。」

仕事の合間にとった休憩なのだろう。エルヴィンはティーカップを傾けながらの会話だ。

一方で彩菜はリヴァイに言われた資料を届けに来ただけのため、すぐに引き上げるつもりだったのだが。この話をされたので一杯だけ彼に付き合っている。

「あ、でもどうしよう⋯。私ドレスとか持ってないよ?」

「それはこちらで手配しておこう。なにか希望はあるか?」

「ドレスなんて今まで着た事こと無いからなぁ⋯。んー、エルヴィンに任せる!」

「⋯⋯リヴァイの雷が、落ちるかな。」

「?どうして?」

「いや、なんでもない。とにかく、夜会の件は頼む。」

「頭に入れておくね!」

届けに来た資料を渡し、入れ替わりでリヴァイに渡すための資料を受け取るとエルヴィンの執務室を出る。

彼は調査兵団の団長だが、家の事情で実家がなくなってしまった自分を、エルヴィンの父親がスミス家に引き取ってくれて育ててくれたのだ。

エルヴィンには本当の妹のように可愛がってもらい、彩菜も本当の兄のように慕っている。

それでも、兵団内では規律を乱すことは良くないと、そのことはなんとなく幹部以外には隠し、他に人がいる時は彩菜のみ敬語になるのだが。
 




「ドレスって、こんなに大変なものなんだね⋯。立体機動装置のベルトよりぎゅうぎゅうに詰められて苦しい⋯。」

「あはは、最初この格好じゃあろくに料理も食べられないからね。」

「お前の場合は食べ過ぎだ。少しは自重しろ。」


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