夢を追う人

□大切なのはコツコツと続けていくことである
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「こっ、これ⋯!!」

プルプルと小刻みに震えながら、それを見つめる。何度も何度も、見間違いではないかと思いながらも確認し、それでも自分の目に間違いはないと理解した瞬間。

恋人である野球選手の、佐藤寿也の顔が浮かんだ。

そして耐えきれなかった彩菜は心の中で絶叫する。





「⋯?彩菜、どうしたの?」

「ううん、なんでもない。」

結婚を視野に入れて始めた同棲は、順調に一年過ぎ、二年目の半ばに突入したのだが。なんとも彩菜の様子が今までにない程おかしい。

家事をやる姿にどこか違和感を覚え、普段は頼んでくるような重い物も危なっかしく自分で運んだり。昨日の夜はなぜかベットの上で腹筋をしているのを目撃してしまった。

そしてなにより一ヶ月近くご無沙汰で、一緒にお風呂にも入っていない。

恋人と一緒に生活しているのにできないとは、まさに生殺し状態なのだが。それでもそれ目的で付き合っているわけでもなく、大切にしたいがため、強引に事を進める訳にもいかず。結局悶々とした日々を送っていた。

しかしそれ以外は普通で彩菜こ性格からもそもそも浮気などできるはずもないため。まず選択肢の中から除外される。

「彩菜、僕になにか隠してない?」

「ど、どうして?」

「いや、様子がおかしいから⋯。物凄い挙動不審だよ。口数も少ないし。」

「っ、そうかな?」

「それに、最近抱きしめさせてもくれないだろ?」

「それはっ!」

いきなり慌て出した彩菜に、これはやはりなにかあるなと、再度確信する。

「も、しかして、僕の事、嫌いになった?」

「!違うよ!そうじゃないの!」

ブンブンと勢いよく、頭を左右に揺らす。その様子に一番最悪の予想を外れたことに安堵の息を吐いた。

「じゃあ、どうして?」

「えっと、あ⋯その⋯。」

彩菜を壁際に追い詰め、両側を腕で押さえ付け、片膝を彼女の両足の間に差し込み、どこにも逃げられないようにする。

合わせた視線が僅かに潤み、頬もこの体勢が恥ずかしいのか、真っ赤に染まっていて、つい加虐心がくすぐられてしまうことを、本人は全く気付いていない。

「僕に嘘吐かないって、約束したよね?」

「もっ、黙秘権を行使します!!」


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