灰色の祓魔師
□目に見えるモノが全て、ではない
1ページ/5ページ
「⋯⋯⋯⋯。」
「あ!!!あの!今私と目が合いましたよね!」
「⋯⋯⋯⋯。」
「無視しないでください!!こら!!」
ふよふよと、目が合ったと思われる少年の前を漂ってくるが、全く反応が無い。
まさか本当に霊感はないのか?と思いつつも、小声でチビで女顔と悪口を言えば、くわりと目を見開き、お前も変わらねぇだろ。と小さく呟く声が聞こえた。
「やっぱり見えてますね。」
「テメェみてぇな半透明なんざ知らねぇよ。」
「私の姿見える人なんて初めてです!!少しだけ話し相手になってください!」
「人の話を聞け。」
おかっぱの少年とばっちりと目が合った、彼いわく半透明の彼女は、ニコニコと満面の笑みを浮かべながら宙を漂う。
サラリと流れる綺麗な長い黒髪と、黒曜石のような瞳。容姿的には男の子と似通っている部分がある。そして白いワンピース一枚で、この肌寒い季節には不似合いな服装だ。
世間一般的に言えば、幽霊である。
そのせいか物には全く触れられず、人数がいても、自分の存在に気付く人間はいない。もう自分の元体がどこにあるのかも思い出せず、気が付いたら彷徨っていた。
見た目から年齢の想像をすれば十代後半だが、さ彷徨っていた期間を考えれば、精神年齢はもっと高い。
「私は彩菜と申します!貴方のお名前は?」
「⋯⋯⋯。」
「なーまーえー!教えてくれないなら勝手に呼んじゃいますよ?えっと、黒ちゃんとか。」
「俺は女じゃねぇよ。」
「なら教えてください。」
「⋯⋯⋯神田。」
「神田君!」
そんな、見た目十代後半の彼女とおそらく十の彼との出会い。
「神田くーん。次の街はどこですかー?」
「知らん。覗けばいいだろう。どうせ見えないんだ。」
「私英語読めませんし、神田君に通訳してほしいんですよ。」
「甘えるな。」
「厳しいですね。」
世界を巡っている彼等に付き添って約二年。時々物騒な兵器相手に武器を奮いながら、仲間を集めるために旅をしているらしい。
.