灰色の祓魔師

□目に見えるモノが全て、ではない
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「⋯⋯⋯⋯。」

「あ!!!あの!今私と目が合いましたよね!」

「⋯⋯⋯⋯。」

「無視しないでください!!こら!!」

ふよふよと、目が合ったと思われる少年の前を漂ってくるが、全く反応が無い。

まさか本当に霊感はないのか?と思いつつも、小声でチビで女顔と悪口を言えば、くわりと目を見開き、お前も変わらねぇだろ。と小さく呟く声が聞こえた。

「やっぱり見えてますね。」

「テメェみてぇな半透明なんざ知らねぇよ。」

「私の姿見える人なんて初めてです!!少しだけ話し相手になってください!」

「人の話を聞け。」

おかっぱの少年とばっちりと目が合った、彼いわく半透明の彼女は、ニコニコと満面の笑みを浮かべながら宙を漂う。

サラリと流れる綺麗な長い黒髪と、黒曜石のような瞳。容姿的には男の子と似通っている部分がある。そして白いワンピース一枚で、この肌寒い季節には不似合いな服装だ。

世間一般的に言えば、幽霊である。

そのせいか物には全く触れられず、人数がいても、自分の存在に気付く人間はいない。もう自分の元体がどこにあるのかも思い出せず、気が付いたら彷徨っていた。

見た目から年齢の想像をすれば十代後半だが、さ彷徨っていた期間を考えれば、精神年齢はもっと高い。

「私は彩菜と申します!貴方のお名前は?」

「⋯⋯⋯。」

「なーまーえー!教えてくれないなら勝手に呼んじゃいますよ?えっと、黒ちゃんとか。」

「俺は女じゃねぇよ。」

「なら教えてください。」

「⋯⋯⋯神田。」

「神田君!」

そんな、見た目十代後半の彼女とおそらく十の彼との出会い。





「神田くーん。次の街はどこですかー?」

「知らん。覗けばいいだろう。どうせ見えないんだ。」

「私英語読めませんし、神田君に通訳してほしいんですよ。」

「甘えるな。」

「厳しいですね。」

世界を巡っている彼等に付き添って約二年。時々物騒な兵器相手に武器を奮いながら、仲間を集めるために旅をしているらしい。


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