灰色の祓魔師
□将来の夢は、お花屋さんになる事です
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「ーーー、一つだけ、聞いていいかな?病院と電話ができる所を探してるんだけど⋯。」
「!私どっちもわかるよ!でもここからだと、分かりにくいから案内しようか?」
「え?いいの?」
「うん!パパがまだ待ち合わせの場所に来ないんだもん!」
「そっか⋯じゃあお願いしようかな。」
おそらくここからあまり離れていないのだろう。女の子と手を繋ぎ、人が多い中を進んでいく。
「お姉ちゃん変わった服着てるね?」
「そうかな?これは制服みたいなものだから。」
「じゃあお仕事でこの町に来たの?」
「その仕事はとりあえず、終わったんだけどね。」
大通りから少し狭い路地に入ると、少女が歩くその間に自分の家族についてたくさんの話をする。それを微笑ましく、少し羨ましく思いながらも、相槌を打っていた。
ふと気になり、歩いてきた道を振り返る、もしこの道に一人でいれば確実に迷子になっていただろうと思う。
「お姉ちゃん、もう少しだからね!」
「ありがとう⋯。」
そんな言葉をかけられた時、前方から一人の女性が歩いて来るのが見えた。こんな狭い場所では、譲らなければすれ違えないだろう。
二人が、避ける為に壁側へ寄ったその瞬間。嫌な臭いが鼻につく。
ぞわりと立った鳥肌と同時に、彩菜はチョーカーに手をかけ、イノセンスを解放したと同時に言霊を叫んだ。
「‹飛べ!!!›」
「あわわわわ!!?」
少女を片腕に抱えながら、その場から高く跳ぶ。その場所には銃弾がすでに撃ち込まれていて。殲滅が終わったはずだったAKUMAに嫌な汗が流れる。
もしあと数秒、気付く事ができず、反応が遅ければ、この少女は死んでいただろう。
「お姉ちゃん⋯。」
「大丈夫、怖くないから。」
彩菜のイノセンスは言霊。口で言葉にすれ現実になる。とは言いつつも、限度があり、その言語は日本語でなければいけないという縛りがあった。
「‹留まれ!!›」
少女を屋根の上に立たせると、AKUMAを見下ろし、動けなくなったその体へと跳び移る。
「もうこの街のAKUMAは殲滅したはずだけど?まだ生き残りがいたのか、それとも私の話を聞いて、別の街から来たのか、どっち?」
「千年、伯爵、様の⋯!!敵⋯!!」
「ーーーそう。答えるつもりはないのね。わかった。」
彩菜は再び、言霊を唱える。次はとどめを刺す確実な言霊を。
「‹爆ぜろ。›」
それと同時に大きく爆発をし、その爆風から逃げるために少女を抱え屋根から飛び降りる。
地面に足を付けてから、チョーカーを首に結ぶ。
「お姉ちゃんの、首のキラキラ⋯すごく綺麗⋯。」
少女の言うキラキラとは首に埋め込まれたイノセンスのことだろう。
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