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□Honey Kiss
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「殿なら居ませんぜ。」
その時、背後から左近に声を掛けられた。
「……その……お怒りになって出て行かれたのでしょうか?」
恐る恐る尋ねてみると、左近は笑いながら答える。
「いやぁーあの後は大変でしたよ。おねね様がかんかんで、殿はずっと説教されていましたから。」
ねねから説教……
やはり今も怒っているに違いない……
「何やら城下へ行くと言って出られました。気晴らしでしょうかねぇ。」
「えっ!?お一人でお出掛けになられたのですか!?」
「えぇ。誰もついて来るなと仰ったので。」
三成は襲撃される恐れがある。
陽は落ち、辺りはもうすぐ闇に包まれてしまう。
「私、捜してまいります!!」
気晴らしにわざわざ一人で出掛けたのならば、また怒られるかもしれない。
それでも、主の命は護らなくてはならない。
私は全力で駆け出した。