short
□熱。
2ページ/4ページ
「マナ殿、薬をお持ちしました。飲めますか?」
「薬……苦いから嫌です……」
「そんな……童の様な事を……」
マナは頑なに嫌々と首を振るばかり。
困った幸村は薬と白湯を自らの口に含み、マナに口づけた。
こくんとマナの喉が鳴るのを確認する。
「……にが……」
「薬は飲めましたな。後はゆっくりお休みになられた方が……私が居ては休めませぬか。」
席を立とうとした幸村の着物の裾をマナの手が掴む。
「……や……一人は嫌。傍に……傍に居て下さ……」
熱に浮かされ、マナはうわ言の様にそう繰り返した。
「分かり申した。お傍に居ります。」
幸村は再びマナの枕元に座り直す。
「幸村様……手を……」
握って欲しいと差し出された手を両手で包む。
「あたたかい……」
安心したかの様にマナは微笑んだ。