long

□Honey Kiss
1ページ/4ページ


「いえ、三成様と過ごしたこの半月で目に見えぬ絆も生まれました。」

「でもお前は目に見える証も持っていたいのだな。」



「贅沢な奴だ。」と三成は薄く微笑んだ。



「俺は女に物など贈った事が無い。証が欲しければマナ、特別にもう一つ証をくれてやる。」



だんだんと近付く私達の距離。

三成の左手は私の肩に、右手は顎に添えられ……



「要らぬならば跳ね除けろ……」



三成はそう呟くと目を閉じた。

唇に柔らかな感触。

啄む様に何度と重なった。



「目を閉じろ、馬鹿者……」



私はただただその行為をぼーっと受け入れていたのだった。



「新しい証だ。俺からしか受けられない、この世で唯一のな。忘れるな。」

「……三成……さま?」

「……夕餉には遅れるなよ。」



そう言うと三成は室から出て行った。

三成の顔が赤かったのは西日のせいだったのだろうか?




 
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ