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□Honey Kiss
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「いえ、三成様と過ごしたこの半月で目に見えぬ絆も生まれました。」
「でもお前は目に見える証も持っていたいのだな。」
「贅沢な奴だ。」と三成は薄く微笑んだ。
「俺は女に物など贈った事が無い。証が欲しければマナ、特別にもう一つ証をくれてやる。」
だんだんと近付く私達の距離。
三成の左手は私の肩に、右手は顎に添えられ……
「要らぬならば跳ね除けろ……」
三成はそう呟くと目を閉じた。
唇に柔らかな感触。
啄む様に何度と重なった。
「目を閉じろ、馬鹿者……」
私はただただその行為をぼーっと受け入れていたのだった。
「新しい証だ。俺からしか受けられない、この世で唯一のな。忘れるな。」
「……三成……さま?」
「……夕餉には遅れるなよ。」
そう言うと三成は室から出て行った。
三成の顔が赤かったのは西日のせいだったのだろうか?