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□Honey Kiss
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自室に戻り、声を殺して泣いた。
泣き疲れていつの間にか寝ていたらしく襖から西日が差し込んでいる。
「しまった……散策同行のお約束が……」
……しかしもう遅い。
私が夕餉の支度をしようと準備を始めた時……
「マナ……居るか?」
襖の外から三成に呼び掛けられる。
「はい……居ります。」
「少し……良いか?」
襖が開き、三成が室に入って来た。
「本日は申し訳ございません、散策に同行出来ず……」
「それは良い。幸村にも後日にしてもらった。」
そして訪れる沈黙……
それを三成が破る。
「絆……なのだな。」
「はい。三成様との絆です。それは誇りよりも大切なのです。」
「それでは、その簪が無くなれば絆は消えてしまうのか?」
「……えっ?」
私は目に見える証だから大切にしていた。
簪が無くなれば?……そんなの気持ちは決まっている。
しかしその問いの返答に悩む。