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□Honey Kiss
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「ところでマナ殿は不思議な色をする簪をお使いなのですね。」
「これですか?見る角度によって色が変わるのですが、主要は桃色なのですよ。」
「高雅でマナ殿に良くお似合いだ。」
幸村に褒められ嬉しくなる。
「とても大切な方から頂きました。絆の様な物です。」
「それはそれは。恋仲の方ですかな?」
「ちっっ……違います!恋仲などではありません!」
微笑む幸村に私は全力で否定した後、贈り主・三成の顔が浮かんだ。
三成の任に就いて約半月、印象が変わってきたのは確か。
”冷血漢”と言われている三成だが、ただ感情の表現方法を知らないだけ。
本当は誰よりも泰平の世を願い創る為、日々働いている。
「お優しい方なのです、三成様は。」
「ああ、贈り主は三成殿でしたか。マナ殿は三成殿を理解されているのですね。」
あの性格故、敵を作りやすいが本質は違うと。
三成の理解者が増えて嬉しいと幸村は微笑んだ。
「本日はこれから三成様もお暇が取れる様です。」
「それではようやっと私の相手から解放されますな、マナ殿。」
「幸村様こそ私にお相手下さりありがとうございました。」
お互いに謙遜し合って笑い合ったのだった。